JESCO東京事業所見学レポート | エコテスト スタッフブログ

JESCO東京事業所見学レポート

去る9月2日


東京都江東区中央防波堤の日本環境安全事業株式会社(以下JESCO)東京事業所 の見学へ


エコテストのPCB分析担当 杉浦が行って参りました。



JESCOは国が認可したPCB廃棄物処理の事業者で

東京事業所は東京・埼玉・神奈川・千葉にある

PCB廃棄物:高圧トランス、高圧コンデンサ、安定器等の電気機器、

廃PCB等のPCB油の無害化処理を行っています。


江東区の中央防波堤はその名の通りの防波堤、ではありますが

埋立地です。


バスに揺られて海底トンネルをくぐると

そこは廃棄物関係施設や物流拠点と思われる、

大きな四角い建物が並んでいます。


バス停「中央防波堤」に降り立つと

すぐ正面の新しい大きな建物が。


それがJESCO東京事業所でした。


立派な建物内に入るとすぐ目に入るのが

大きなドラム缶(?)と黄色の袋





これはPCB搬送中の車両が事故にあった等の

緊急事態が発生した場合に対応するための

オイルキャッチャーと汚染物回収の容器だそうです。


PCB廃棄物搬送車内や、搬送業者の事業所にも

同様の物が備えられていて、

近くの事業所から救援に向かうのだそうです。

ちなみに現時点では無事故とのこと。

この先もオイルキャッチャー君達が出動する事態が

起こらないことを祈ります。



さてさて施設見学です。


まず広報の方に案内して頂いたのは

とてもとても広いホール。

数十人は収容できる広さのお部屋で

事業の概要など一通りの説明をして頂いた後に

PCB無害化処理の工程を説明するDVDを

ひとり巨大スクリーンで鑑賞。


なんだか申し訳ない気分に。。

そもそも廃棄物関係の会社の方、

自治体関係の方が数十名の団体で

見学に来られる事が多いようです。

なるほど。




さて気を取り直して実際の処理施設へ!


まずは受入室



搬送業者のトラックから搬送容器を取り出し、

赤いフォークリフトかクレーンで

奥の計測台へ


ここで重量を測ります。

届出とずれがないかチェック。


油漏れの有無もチェックするそうです。


トランスとコンデンサでは解体の方法が違うので

ここから別々のラインへ運ばれます。


トランスはホースのようなもので油を抜き取ってから

本体を切断して解体して洗浄工程へ


コンデンサは水中で本体を切断して油と

中から素子(そし・紙や木が含まれる場合も)を取り出して

こちらも本体は解体して洗浄



↑中の茶色い部分が素子。


素子は油が染み込んだ紙や木が含まれているので

切断・攪拌して泥のようなスラリー状にして

油や洗浄液と共に無害化処理に回ります。


本体は石油系の洗浄液で複数回かけて洗浄し

無害化できたか分析をかけた後、

さらに細かくしてリサイクルされます。

年に何度か入札で業者が買い取るとのこと。


油や洗浄液、スラリー状にした素子は

370度という高温で無害化し、

こちらも分析してから下水道に排水されます。



さてJESCO東京事業所には

電力会社の柱上トランス用の処理設備があり

こちらはトランス・コンデンサとは別ラインになっています。

トランスやコンデンサは「高濃度」というくくりで

油や素子を無害化して排水していますが

柱上トランスは「低濃度」ということで

油は200度で処理し、リサイクルされるそうです。


以上の詳細はJESCOの無害化処理フロー でどうぞ。


処理のラインとしてはもう一つ

蛍光灯安定器のラインがあるのですが

現在は受入を休止しているそうです。

安定器は破砕して処理しますが

当初の想定と実際に回収した機器のタイプが違い、

うまく破砕できないため

受入再開の目処は立っていないとのことです。


私が見学させていただいた日は2~3台のトラックでの

搬入が予定されていてGPSを使ったトラックの現在地表示が

刻一刻とモニターに表示されていました。

事故に巻き込まれたりしませんように。



現在は高濃度のみを処理対象としているJESCOですが

高濃度の処理を終えたら低濃度にも着手するのでしょうか?

というのが素朴な疑問だったのですが

やはり、国の処理方針が決まっていないので・・・

という回答でした。


低濃度・微量のPCB廃棄物を保有されている事業者様は

今しばらく保管継続となるようです。


見学を終えて。

安全対策などを細かく考えて慎重に処理をされている

という印象を受けました。

しかしまだ高濃度廃棄物の処理をしている段階であり

大量の低濃度廃棄物は未着手状態。

処理完了まではまだ相当時間がかかりそう・・・

というのが率直な感想です。


※低濃度廃棄物については

 民間企業が無害化処理の研究開発を行っており

 国の処理方針決定が待たれています。


※PCB廃棄物について

適切に保管をして自治体への届出が必要になります。

各自治体により、提出窓口や問合せ先は異なります。

エコテストのPCBサイト では

PCB廃棄物届出先一覧 を公開しております。

ぜひご活用くださいませ。



さて最後になりましたがエコテストからお知らせです。

絶縁油中のPCB分析の価格を改定しました。

なんと1検体15000円に!

ラボさんが効率化の徹底など努力してくださったお陰です。

ありがとうございます。


まだ分析をお済ませでない方はお早めに

エコテストのPCB分析をご利用くださいませ。


杉浦でした。