綿矢りさの短編『トマトマン』を読み終えました。

文學界2014年3月号 (芥川賞一五〇回記念特別号/芥川賞一五〇回記念短編競作)に掲載されています。

タイトルからして、アンパンマンみたいな話かと思いましたが・・・はいそうです。。

農家ですくすく育って、まさに食べられ頃に熟したトマトでしたが、農家の伊藤さんに見つけてもらえず、収穫されませんでした。

おいしく食べてもらえることを夢見ていたトマトは、海に身を投じて哀願するも、ふと気がつくと人間になっていました。

しかも顔だけトマトのまま・・・

そこで狼狽するも、頼み方間違ったかな?とボケをかますところが笑えました。

何を形容しているのか定かではありませんが、熟してる、食べて欲しい、おいしいと喜んで欲しい・・と願うトマトと、

噛んだら赤い汁と種が飛散することに恐れおののく島人たちの行はなんだかエロス!?

この短編競作には様々な超有名作家がずらりと揃って、みなさん好き勝手にエログロな作品を書いていますが、
同様に最年少で芥川賞を受賞した作家が、臆することなく、しかも堂々たる書きっぷりなところが大胆で、いいですね。

せつなくも悲しい物語でもあり、ユーモアあふれる綿矢さんの奇才ぶりが発揮された作品。・・最後が相変わらず素敵です。


文学界 2014年 03月号 [雑誌]