最後の壁は厚かった。逆境を何度もはね返してきた落合中日だが、リーグ王者として日本シリーズを制する悲願は夢と消えた。今季限りで退任する指揮官は有終の美を飾ることはできなかった。
セレモニー後は先頭に立って選手、コーチとともに左翼席に向かって深々と一礼。「負けたのは残念だけど、悔いはない。この状態であいつらがよくここまで連れてきてくれた」。“落合コール”を背に、選手への感謝の言葉を語った。
頂上決戦で力尽きたとはいえ、在任8年間で優勝4度に2位3度、3位1度とすべてAクラスで球団初のリーグ連覇も達成。輝かしい戦績を残す裏で、自らの目指す野球にはこだわり続けた。
情報管理を徹底する“オレ流”を語る上で、欠かせない先発隠し。今シリーズ第1戦も大方の予想を裏切り、チェンが先発。「1戦目は僕も吉見と思っていた。自分たちも知らないのに、相手がわかる訳がない」と冗談交じりに森野は話す。
リリーフの起用法についても“らしさ”が表れたのが第6戦。岩瀬を八回途中から起用し、今季初のイニングまたぎで九回2死まで投げさせたところで浅尾にスイッチして勝利をつかんだ。「投げる順番は関係ない。勝つことだけを考えればいい」と言い切った。
それでもチームが崩壊しなかったのは、結果を出し続けることに加え、自らが起用してきた生え抜きの選手たちが現チームを支えるからだ。選手会長の森野、好打攻守を誇る井端、荒木の二遊間コンビに吉見、浅尾。次代を担う平田、大島らも頭角を現してきた。
「今までやってきたことを継続して野球人生を進んでくれれば。どれだけ続けてくれるか外から見させてもらうよ」。自他共に認める常勝球団をつくり上げ、落合劇場は幕を閉じた。