IPCCでは、第4次評価報告書においては、地球温暖化により、極地の氷の融解による海面
上昇、都市部での熱波をはじめとした異常気象、穀物生産量の低下、野生生物の絶滅の危
機など、人類と生物の生存基盤を脅かすおそれが生じると指摘しており、産業革命前からの
世界の平均気温の上昇を2℃程度に抑える必要があります。
そのためには、温室効果ガスの安定化濃度を445ppm~490ppmとする必要があり、それに
は、2050年までに全世界で現状から温室効果ガス排出量を少なくとも半減、中でも先進国に
ついては80%以上の削減が必要とされています。
これについては、本年7月のG8ラクイラ・サミットにおいて、主要先進国で支持されました。
各国でも、米国や英国では、既に80%以上の削減を長期目標として掲げています。
我が国は、世界に先駆けて低炭素社会を構築し、環境技術で国際的優位性を確保するとと
もに、先進国として地球全体の問題に責任を果たす必要があります。また、世界全体で排出
量を半減したときと、我が国が80%削減したときの1人当たりの年間平均排出量は、いずれ
も概ね2トン前後となり、足並みが揃うことになります。
このため、私は政治的な決断として、我が国自らも80%削減を達成すべきと考えます。そこ
で、将来の技術ポテンシャルを踏まえつつ、適切な政策を行うことで80%削減が十分に可能
であることを示すビジョンをまとめました。
ビジョンの達成のためには、国民の皆様の理解と努力が必要です。研究・技術開発や政策
の導入をいつ、どのように行うかは数多くのパス(経路)があり、一通りではありません。
今後、我が国の将来目標や対策・施策のあり方について、国民全体での議論を進めていき
たいと考えています。