カーボンオフセットの仕組みづくり(英国/ニューカッスル・アポン・タイン)
「世界初のCO2排出ゼロ都市」を目指して
カーボンオフセット証書
英国のニューカッスル・アポン・タイン市は、2003年から、排出される温室効果ガスを、CO2を吸収する植林
や代替エネルギー事業に投資することで相殺する「カーボンオフセット」という考え方を取り入れた、世界初のCO2排出ゼロの都市を
目指す事業を始めました。
同市は、CO2の排出量や削減方法、カーボンオフセットの方法を知ってもらうために、市民に対してそれらの情報を載せ
たウェブサイトの整備を行いました。そして企業や団体に対しては、CO2排出削減対策を助言し、削減不可能なCO2排
出については、カーボンオフセットを勧めています。さらに、CO2の大量排出企業等には、専門コンサルタントを紹介する試みも導入
しました。加えて、企業に対するインセンティブとして、カーボンオフセットのための寄付には、法人税を免除するといった税金優遇制度も設けられました。
それらカーボンオフセットに向けた環境整備の結果、強制参加でないにも関わらず、カーボンオフセットを推進する事務局は開始から4年間で100企業・団体
にアドバイスを行い、専門コンサルタントは37企業を対象にエネルギー監査を実施し、年間1,000トンのCO2の排出を削減する
等、大きな実績を残しました。
カーボンオフセットに向けた更なる取り組みとして同市は、市内で開かれる会議やイベントにおいて、参加人数、参加者の車や飛行機による移動手段・移動距
離、宿泊数や電気等エネルギー使用量等から、予め排出が想定されるCO2排出量をオフセットする「カーボンニュートラル会議」の推
進も行っています。
グリーン事業への貢献と実績
著名な元フットボール選手の協力とキャンペーン電車(写真提供 ニューカッスル市)
カーボンオフセットによって集まった資金は、カーボンニュートラル基金として積み立てられています。2004年時点での実績として、年
間5,000トン(20%は個人から、80%は企業・団体から)のオフセットが行われました。
それら基金のうち、20%のキャンペーン費用を除いた残りの80%は地域に還元され、社会的弱者のための住宅断熱・暖房工事事業や太陽光発電装置の設置、
植林事業等の環境保全や社会的利益にもつながる事業への支援に充てられています。
ニューカッスル・アポン・タイン市では、市民や企業・団体がカーボンオフセットに参加した結果、3,000戸、700企業以上がグリーンエネルギーを利用
するようになり、4,000トンのCO2が削減されました。取り組み全体としての温室効果ガス削減効果は、2003年から3年間で
約50,000トンにものぼると推定されています。
同市では、市民や企業・団体の地球環境に対する配慮に加え、もともとあった寄付の伝統等が手伝って成果を上げてきました。しかし、現在行っている取り組み
だけでは、カーボンオフセットを行うことに対してのインセンティブは十分だとは言えません。今後同市は、カーボンオフセットの更なる普及・拡大に向けて、
オフセット事業に付加価値をつける工夫を行いながら、CO2排出ゼロを目指していきます。