1971年、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地、及び湿地に生息する野生生物の保護を目的に「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条 約」(ラムサール条約)がイランのラムサールで採択された。我が国は、1980年に加盟し、タンチョウの主要な生息地、北海道・釧路湿原などを「ラムサー ル条約登録湿地」として登録を行い、保全を図っている。
    平成11年5月に開催された第7回ラムサール条約締約国会議において、日本がアジア地域代表として常設委員会のメンバー国に選ばれた。また、沖縄県の漫湖 が同条約に基づく日本での11番めの登録湿地となった。

    【表】 日本のラムサール条約登録湿地

     絶滅のおそれのある動植物の保護とこの動植物の国際取引を規制するための条約である。
     1972年の国連人間環境会議の決議において、野生動植物の特定の種が過度の国際取引によって絶滅の危機に瀕しているとの認識が示され、これを受けて 1973年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)がアメリカのワシントンで採択された。我が国は1980年に 加盟した。


     我が国には、500種以上の野生の鳥類が生息していますが、その3/4は渡り鳥である。これらの鳥類の保護のためには、国際的に捕獲禁止などの措置を講 じる必要があり、我が国は、米国・豪州・ロシア・中国との間でそれぞれ二国間の渡り鳥等保護条約・協定を締結している。条約は、渡り鳥とその卵の捕獲、採 取あるいは販売などをそれぞれの国の法令により規制することなどを内容としている。

自然環境保全基礎調査

* 自然環境保全基礎調査開始までの主な経緯
 我が国では、国レベルの施策として自然環境や野生生物を保全するために、「自然環境保全法」が昭和48年より施行されている。昭和40年代の高度経済成長に伴う公害の深刻化と自然破壊の加速により環境問題に国民の関心が寄せられ、「自然環境の保護及び整備その他環境の保全」などの主管官庁として「環境庁」が発足したのが昭和46年、自然環境保全法は昭和47年に制定された。この「自然環境保全法」に基づき、日本の河川、海岸、動植物など、自然環境の現状を総合的に把握するために、「自然環境保全基礎調査」を実施している。平成6年からは生物多様性を対象とした調査も開始している。


* 自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)
 自然環境保全基礎調査は、一般に、「緑の国勢調査」と呼ばれ、自然環境保全法第4条の規定に基づきおおむね5年ごとに実施している。本調査では、陸域、陸水域、海域の各々の領域について調査項目を分類し国土全体の状況を調査している。調査結果は報告書及び地図等にとりまとめられたうえ公表されており、これらの報告書等は、自然環境保全の施策を推進するための基礎資料として、自然公園等の指定・計画をはじめとする自然保護行政の他、環境アセスメント等の各方面において活用されている。

→生物多様性情報システム「自然環境保全基礎調査」
(http://www.biodic.go.jp/kiso/fnd_f.html)

地球上の森林は熱帯林を主として、1990年から1995年の間に5630万ha減少していると言われている。(国連食料農業機関 FAO) 他方、シベリアなどの森林においても、過度の伐採による森林減少が懸念されている。 これら世界の森林減少による大気中の二酸化炭素の増大が地球温暖化を加速させる一因となっていることが指摘されている。 また、広い面積の熱帯林が消失することにより、多くの野生生物が絶滅の危機に瀕することが懸念されている。

森林(特に熱帯林)の減少の原因として、
  • 過度の焼畑耕作(伝統的な焼畑農民に加え、人口増加により新たに流入した住民による影響が大きい)
  • 薪炭材の過剰採取
  • 森林以外の用途(放牧地、農地など)への転用
  • 不適切な商業伐採
などがあげられる。

その背景として、開発途上国における貧困や急激な人口増加などの問題がある。 つまり、森林(熱帯林)の減少と野生生物種の減少とは、その原因と構造が非常に密接に関係していることがわかる。

熱帯林減少の直接的な原因としては次のような報告がある。
  • 焼畑耕作(全体の45%) → 最も高い割合を占める
    • 熱帯アメリカでは焼畑耕作:35%、過放牧がそれに続く
    • 熱帯アフリカでは焼畑耕作が70%以上を占める
    • 熱帯アジアでは焼畑耕作が49%を占め、その他に移住、入植などが原因となっている
海は地球の表面積の7割を占める広大な広がりをもっている。しかし、人は海を、不要物を流し去ってしまうところとしても利用してきたため、一部の海域では 「水に流す」ことが「天につばする」結果となって帰ってきている。


「国連海洋法条約」では、海洋汚染の原因を次のように分類している。
  • 陸からの汚染(河川、パイプラインなどを通じて川に流れ込む工場や家庭からの汚染物によるもの)
  • 海底資源探査や沿岸域の開発などの活動による生態系の破壊、汚染物質の海への流入など
  • 投棄による汚染(陸上で発生する廃棄物を海洋に投棄することによる汚染)
  • 船舶からの汚染(船舶の運行に伴って生じる油、有害液体物質、廃物などの排出による汚染)
  • 大気を通じての汚染(大気汚染物質が雨などとともに海洋に達して生じる汚染など)
さらに、タンカー事故や戦争(「湾岸戦争」での大量の油の流出など)も大きな海洋汚染の原因と考えられる。
廃棄物の発生量は年々増大し、その内容も複雑化しつつあるという状況の中で、有害な廃棄物が国境を越えて移動し、発生国以外の国において処分される事例が 増えてきた。 しかし、このような有害廃棄物の越境移動は、廃棄物の有害性が極めて高かったり、受入れ先国において適正な処分がなされなかったりしたために環境汚染につ ながる事例が多く、地球的規模の環境問題となっている。

OECDが1988年にまとめたレポートでは、有害廃棄物の越境移動が起こる理由を、次のようにまとめている。
  1. 有害廃棄物の発生国においてその処理費用が値上がりすること
  2. 発生国において特定の廃棄物の処分容量が減少すること
  3. 発生国において陸上処分し、将来、環境汚染が生じた場合には、多額の被害補償が必要な可能性があること
  4. 発生国において有機溶剤など特定の廃棄物に関する規制が強化されること
  5. 発生国において排出事業者による廃棄物の発生場所での処理に関する規制が強化されること
  6. 発生国において経済成長により廃棄物の発生量が増大すること
  7. 受け入れ国において複数の国が利用できる処理施設が存在すること
  8. 発生国において最終処分されてしまう廃棄物から有価物を回収するため、取引きされる国際市場が存在すること
  9. 発生国よりも、他国の処理施設のほうが近くにあること
  • 有害廃棄物の越境移動とは、廃棄物が国境を越えて発生国以外に運ばれることであり、廃棄物の発生国における処理コストの上昇や処分容量の不足に伴 い、行われるようになった。
  • 有害廃棄物の越境移動は、その発生のメカニズムから、廃棄物の有害性が極めて高い場合や、移動先において適切な処理・処分がなされない 場合が多いことなど、深刻な環境汚染につながる事例が多く、地球的規模の環境問題となっている。
干ばつなどの自然的な原因のほか、放牧地の再生能力を超えた家畜の放牧や、過耕作、薪炭材の過剰な採取、不適切な潅漑による農地の塩分濃度の上昇などによ り、地球規模で砂漠化が進行している。 これらの背景には、開発途上国の貧困、人口増加といった社会的・経済的な要因がある。 砂漠化問題に国際的に取り組むため、アジェンダ21に基づき、砂漠化防止条約交渉会議が設置された。 この結果、1994年6月に砂漠化防止条約が採択され、同10月には条約署名式典が開催された。


砂漠化が起こる原因は、気候的要因と人為的要因の2つに大きく分けることができ、この2つの要因が相互に影響し合って砂漠化が進展していく。 また、砂漠化の進展が気候の変動(気候的要因)や過放牧(人為的要因)の原因となることなど、悪循環によりますます砂漠化が進展してしまう構造になってい る。


みんなで守ろう地球環境


開発途上国では、工業化、都市化などの進展に伴い、大気汚染、水道汚濁などの公害問題が深刻化している。また、中東欧諸国や旧ソ連地域では、旧体制下で生 じてきた激甚な公害問題に今なお苦慮している。これらの国々においても公害防止対策の取り組みがなされてきているが、資金、技術、人材、経験などが不足し ており、自国の努力のみによる改善には限界がある。このため、わが国をはじめとする先進諸国や国際機関などによる支援が不可欠となっている。

開発途上国の環境問題は大きく分けて2つのタイプに分類できる。
  • 環境資源の適切な管理の不備
  • 発展に伴う環境汚染
このような環境汚染が生じる背景には、急速な開発や人口増加、人口の大都市への集中などに対して、都市基盤や公害防止施設・制度の整備が追いつかないこと などが存在している。
これらの関係を簡単にまとめると、次のような図になる。

開発途上国の環境(公害)問題の発生メカニズム



地球上にはシロナガスクジラのような巨大な生物から土壌中の微生物にいたるまで非常に多くの生物が存在し、多様な環境の中で相互に関わり合いながら生態系 を構成している。
一方で、地球上では生命の誕生以来、自然のプロセスの中で絶えず種の絶滅は起こってきた。しかし、現在では、過去にないスピードで種の絶滅が進行してい る。しかも、人類の活動によってこれらの種の絶滅が生じていると考えられるものが多数ある。

野生生物種が減少する主な理由として次の4つがあげられている。
  • 環境の悪化や破壊による生息域の減少
  • 乱獲
  • 生態系の変化
  • 農作物や家畜を守るための捕獲
また、野生生物種の減少が最も進行していると考えられているのが、アフリカ、中南米、東南アジアの熱帯林地域である。これらの地域では、
  • 焼畑移動耕作による森林の減少
  • 過剰な薪炭材の採取
  • 過放牧
  • 無秩序な用材の伐採
などが直接の原因となって野生生物種の生息環境が破壊され、種の減少が進行している。しかも、ここであげた原因の背景には、貧困、内戦などによる社会制度 の崩壊・不安定による政策や制度の不備、人口の急増など、きわめて社会的な要因がある。

地球をとりまくオゾン層は、太陽光に含まれる有害な紫外線の大部分を吸収し、われわれ生物を守っている。
一方、代表的なフロンであるCFC(クロロフルオロカーボン)は冷媒、洗浄剤、発泡剤などに広く利用されてきたが、いったん環境中に放出されると成層圏に まで達し、そこで強い紫外線を浴びて塩素を放出してオゾン層を破壊する。 その結果、地上に達する有害紫外線の照射量が増加し、皮膚がんの増加、生態系への悪影響などが生じるおそれがある。

大切なオゾン層がCFCなどの人工の化学物質によって破壊されていることが明らかになっている。 そのメカニズムを簡単に示すと次のようになる。
  • 地上から
    特定の種類のフロンは化学的に安定な物質であるため、大気中に放出されると対流圏ではほとんど分解されずに成層圏まで達する。
  • 成層圏で
    成層圏では太陽光線(紫外線)を吸収して分解し、塩素原子を放出する。
  • そして
    この塩素原子がオゾンを分解する原因物質となる。しかもこの分解の反応は連鎖反応となり、1個の塩素原子によって数万個のオゾン分子が分解されるといわれ ている。
オゾン層を破壊する物質としてはCFCの他に、ハロン、1,1,1-トリクロロエタン、四塩化炭素、HCFC(代替フロンの一種)、臭化メチルなどがあ る。
地球温暖化とは、人間活動の拡大により二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスの大気中の濃度が増加し、地表面の温度が上昇することをいう。 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告によれば、温室効果ガスの濃度が現在の増加率で推移した場合、21世紀末までに地球全体の平均気温が 1.4~5.8℃上昇することがありうるとしている。

地球温暖化は次のような仕組みで起こるとされている。
  • 太陽から届く日射エネルギーの7割は、大気と地表面に吸収されて熱に変わる
  • 地表面から放射された赤外線の一部は大気中の温室効果ガスに吸収され、地表を適度な温度に保っている
  • 人間活動により、大気中の温室効果ガスの濃度が急激に上昇している。そのため、これまでのバランスを越えて赤外線が温室効果ガスに吸収 され、その結果、地表の温度が上昇してしまう

【図】 温室効果のメカニズム

温室効果ガスにはさまざまな物質があるが、主なものとして次の5つが知られている。
  • 二酸化炭素(CO2
  • メタン(CH4
  • 亜酸化窒素(N2O)
  • 対流圏オゾン(O3
  • クロロフルオロカーボン(フロン:CFC)
これらの、地球温暖化への寄与の度合いは下図のようになる。

温室効果ガスの地球温暖化への寄与度(世界全体)
温室効果ガスの地球温暖化への寄与度(世界全体)

また、温室効果ガスの削減に向けた国際的な取り決めである京都議定書には、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフ ルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類が定められている。