今まで、私達は銀行からお金を借りるときに、銀行は預かった預金を回してくれると教えられてきました。それと同じように、政府が国債を発行する時に、その購入資金は銀行が国民から預かったお金が使われているとされてきました。

 

  最近になって、これらの解釈は勘違いだったことが明らかになってきました。その勘違いが国家レベルで行われていたことから、政府の経済財政政策も大きく歪められてきたようです。

参考→貨幣論の間違いが招いた「失われた25年 1997年の衝撃

 

 

どのように間違っていたのか、その内容をみていきたいと思います。

 

 

 

1.従来の考え方

 ①「国債は、国民預金や企業の内部留保からお金を借りて買っている」→②「その借金はいずれ返済しなくてはならない。将来世代のツケである」→③「国債に頼るべきでなく、これからは消費増税と緊縮財政だ」と。・・・これが預金又貸し説と言われています。

 

 

 

2.ММT等からの新解釈提起

  ①「国債購入の資金は国民からの金融資産ではなく、日本銀行が信用創造で産み出したお金で買っている」→②「国民の借金ではないので国民が返済する必要はない」→③「国債発行と同額の国民資産を産みだしている。国民の負担で国債償還すると国民資産が消滅していく。インフレ率に留意して国債を財源とするのは問題がない」と真逆な意見がでてきました。

 

この違いはどこから来ているかと言うと貨幣についての考え方が異なるのです。

 

 

 

3.預金又貸し説と信用創造について

1の従来の考え方は、お金の量には限りがあるので、いまあるお金でモノ(国債)を買っているとする、いわゆる「又貸し説」に基づいています。

 

2は、銀行も日本銀行も、お金の借り手がいれば、その借り手に返済する能力があると判断されれば、お金の貸し出しが行われるとする、いわゆる「信用創造論」に基づいています。

 

貨幣論についての相違点はここをご覧ください→信用創造について

また、それぞれの貨幣論については、簿記による仕訳に基づく税理士さんの解説があります。

又貸し説について(動画解説)・・・預金の又貸しは実際は行われていない。

信用創造について(動画解説)・・・銀行は新たに貸し出すことでお金を創り出している。

 

 

 

 

4..国債購入は、信用創造によって産まれたお金が原資になっている

国債購入の原資は日銀当座預金とする見解は、次のようなものがあります。

 

(1).ウィキペディアにある「日本国債」--「発行と流通のしくみ」より

 「銀行は集めた民間預金を元手に国債を購入しているわけではなく、日銀が供給した日銀当座預金を通じて、国債を購入しているため、銀行の国債購入は、民間預金の制約を一切受けず、銀行が国債を購入して政府が支出する場合、銀行の日銀当座預金の総額は変わらない。

 また、政府が国債を発行して、財政支出を行った結果、その支出額と同額の民間預金が新たに生まれる。つまり、政府の赤字財政支出は、民間預金を減らすのではなく、逆に増やすことになる。それゆえ、財政赤字の増大によって民間資金が不足し、金利が上昇するなどということは起き得ない」

 

 

これは、日本銀行が信用創造したお金が日銀当座預金として供給し、民間銀行がそれを使って国債を買っていると言うことになります。

1の預金又貸し説を否定していることになります。

 

 

(2)簿記の仕訳から、国民預金で国債を買えるのかを検証しています。

銀行預金で国債を購入できるのか?

 

この解説も1の又貸し説を否定しています。

 

 

(3)国会質疑における黒田日銀総裁答弁

日銀当座預金で国債を買っていることを認め、日銀総裁も又貸し説を否定しています。

 

→国会質疑 参院財政金融委員会 2019年5月9日  (0:00~1:20)

■西田昌司議員

「政府が国債を発行する時、民間の日銀当座預金が減って、その分政府の日銀当座預金が増える、このように認識していますがどうですか?」

■黒田総裁

「新規国債発行時点において民間金融機関の日銀当座預金が減り政府の日銀当座預金が増えます」

 

 

 以上の(1)~(3)は・・・国債購入資金は国民預金からではなく、日銀が信用創造に基づき産み出したお金を日銀当座預金として供給して、それを民間金融機関が仲介する形で国債を買っていると考える根拠になり得るものです。

 

 

 

5.ベーシックサービスは国債発行で!!

 立憲民主党の政策顧問になっている井手栄策氏(参院選公約のづくりに参画)は、「子育て、教育、医療、介護、障碍者福祉といったベーシックサービスを全ての人に無償で提供」した場合、17兆円~19兆円あれば実現できると主張しています。(「りべラルは死なない」より)
 

 しかし、彼は残念なことに、又貸し説に基づき消費税を6%から7%引き上げることで財源を確保する、と主張しています。

 

 

 それでは、その預金又貸し説ではなく、信用創造論に基づいて財源を確保しようとするとどうなるでしょうか?

 

 

 所得税や法人税の累進性強化により格差是正を図るとともに、それでも不足分する財源は国債発行で確保するという選択が考えられます。ただし、この場合インフレに留意しなくてはなりません。

 

 マイルドな経済成長している時はインフレ率2%~4%と言われており、政府の目標もインフレ率2%になっています。・・・なかには、4%~5%のインフレ率を目標にすべきとの意見があります。また、瞬間的に高い率になったとしても、5年間程度の平均値で2%~3%の範囲におさまれば良いとの主張もあります。


 

いずれにしても、高インフレにならない支出規模はどの程度なのかを予め検討しておくことは大事なことです。

 

一つだけ目安になるシュミレーションがあります。

 

「れいわ新選組」が参議院情報調査室に依頼したものです。国民一人当たり毎月10万円、4年間に渡って給付した場合(毎年144兆円の国債発行)の結果が下記のグラフです。

 

 

 

 

 毎年144兆円規模の国債発行を続けても3年目に1.8%が最高値になりますが、2%には届きません。・・・ちなみに、このシュミレーションはコロナ過の前ですので需要が低下している今日では200兆円規模でも高インフレにはならないと言われています。

 井手氏の提案しているベーシックサービスが19兆円で実現できるならば、国債発行で充分に間に合います

 

 さらに、この範囲内で老朽化したインフラ更新(トンネル、橋脚、全国の老朽水道菅更新

)や地震・水害等に対する防災対策気候変動対策等にも大胆に投入することができます。

 

 このように政府の財政支出が計画的に行われるようになると、民間経済も活気が出てきて賃金や雇用も改善されます。


 
 

 

6.消費税は、賃金を引き下げ、雇用を破壊している悪税です

 消費税を財源確保として考える経済学者や政治家が多くいます。しかし、この認識も貨幣論と同じように大きな勘違いをしています。

 

 消費税について、一般消費者は物価に10%上乗せさせた分を販売者に預かってもらい、それが国に納められるものと考えられてきましたが、実際は事業者にとって、それは預り金ではなく販売商品の対価の一部だったのです。

 

 事業者は、利益と人件費に対して、それの10%が消費税として課せられていたのです。そのために、事業者は生き延びるために、賃金を引き下げたり、負担する社会保険料を減らすために、非正規雇用を増やすようにしていたのです。

 

加えて、インボイスが実施されると340万の中小事業者が廃業の危機に陥る」そうです。

 

詳細は、こちらの解説をご覧ください→消費税の真実(税理による動画解説)

 

それでも消費税を財源として考えるのでしょうか?

 

 

以上

 

 

 

参考→国債の償還はこのように行われている

 

参考→国債の元本はかえさなくても良い