ソクラテスをどこまで理解できていますか? 中編
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ソクラテスはギリシャのデルポイにあるアポロンの神託所において、
巫女に「ソクラテス以上の賢者はあるか?」と尋ねてみたところ、
「ソクラテス以上の賢者は一人もない」と言われたそうです。

これを聞いて、ソクラテスは自分が小事・大事ともに、
疎くて賢明ではない者であると自覚していたソクラテスは驚き、
それが何を意味するのか自問したそうです。

ソクラテスはかなり悩んだ挙句、彼はその神託の反証を
試みようと考えたのです。

彼は世間で評判の賢者たちに会って問答することで、
その人々が自分より賢明であることを明らかにして
神託を反証するつもりであったとのこと。

実際に賢者と世評のある政治家や詩人などに会って話してみると、
彼らは自ら語っていることをよく理解しておらず、そのことを
彼らに説明するはめになってしまった。
それぞれの技術に熟練した職人達ですら、その技術については
知者ではあるが、そのことを以って他の事柄についても
識者であると思い込んでいた。

こうした経験を経て、彼は神託の意味を
『知らないことを知っていると思い込んでいる人々よりは、
知らないことを知らないと自覚している自分の方が賢く、
知恵の上で少しばかり優っている」ことを指しているのだと理解しつつ、
その正しさに確信を深めていくようになりました。

更に、「神託において神がソクラテスの名を出したのは一例」に過ぎず、
その真意は、「人智の価値は僅少もしくは空無に過ぎない」
「最大の賢者とは、自分の知恵が実際には無価値であることを自覚する者である」
ことを指摘することにあったと解釈するようになったとのこと。

こうして、ソクラテスはその「神意」(神の意志です)に則り、
それを広める「神の助力者」「神への奉仕」として、ソフィスト達のように
報酬を受け取るでもなく、家庭のことも省みず、極貧生活も厭わずに
歩き廻っては出会った賢者たちの無知を指摘していくことを
なんと!ライフワークにまでしたそうです。

 あなたなら、ここまでできるでしょうか?
この点、わたしが、ソクラテスを尊敬し、
メンターと仰いでいる点なのです。

(次号 後編にてこの話は完結!)