
やっぱりマンツーマンのシッティングは満足度が高いなぁ。終わる頃には、息子も写真の通りすっかりなついていました。
私も、わずか1時間のシッティングの間に仕事の連絡をしたり食事の準備をしたり、そして何よりずっと気になっていた家の片付けを黙々とこなしたり、集中してやりたかったことができたので、とても有難かったです。
キッズラインは、「日本にベビーシッターの文化を根付かせたい」という思いで、経沢香保子さんが立ち上げたプロジェクトとのこと。素晴らしい試みの始まりに隅っこだけでもご協力できて、とても嬉しいです。
が、今回ベビーシッターを利用するにあたり、日本でベビーシッターの文化が根付くためには、いくつかの課題があることを感じました。
今日は、それをまとめたいと思います。
課題1.費用が高い
→やはりこれが一番大きいと思います。従来のベビーシッター業者を通して依頼すると、1時間当たり2,500円~3,000円くらいかかっていました。キッズラインは、シッターさんの時給(1,000円~1,700円くらい)+手数料+交通費くらいでできるので、少しはハードルは下がりましたが、それでもやはり高い。
シッターさんに支払う時給以上に稼いでいる人でないと、「シッターに預けて仕事」というのは成り立たないことになります。
これはとてもハードルが高いです。
(しかも、シッター代は経費になりません)
私も、上の子が小さい頃、仕事のためにシッターさんに何度かお願いしていましたが、「仕事時間全部」をお願いするととても採算が取れないので、取材や打ち合わせの間だけお願いして、執筆など家でできることは子どもが寝た後にやっていました。
(そうすると睡眠時間が削られてすごく消耗します……)
課題2.他人に家に入られることに抵抗がある
→これも大きいと思います。
現代の日本において「家」というのは非常にパーソナルな空間になっていて、自分が家にいるときならまだしも、家の人が不在のときに子どもとシッターさん(という他人)だけで家にいられるというのは、心理的に何となく受け入れられない、というのがあるのではないでしょうか。
(「貴重品を狙われるんじゃないか」という直接的な不安はないとしても、「何となく嫌な感じ」というのがあると思います)
課題3.「贅沢している」「手抜きしている」と思われそう
「ベビーシッターって高い」というイメージがあるから(イメージと言うか、前述のとおり現状では実際に高いのですが)か、ベビーシッターに頼むのって、芸能人の方とか、起業家の方など、いわゆる「セレブ」な方がすること、というイメージがあり、一般的には「贅沢なことをしている」と思われるんじゃないか、と尻込みしてしまう方は多いのではないかと思います。
また、日本では「子育てはお母さんがするもの」という固定観念がまだ強いので、シッターさんに子育てを任せるなんてお母さん失格、育児放棄していると思われるんじゃないかと心配する方も多いと思います。
(ちなみに、住んでいる場所の土地柄か、公園などに行くとよく欧米人の親子と遭遇しますが、子どもが2人以上いる方は、ほとんどと言っていいほど、シッターさんらしき方も一緒に子どもを見ています。
お母さんが上の子と遊んでいるときはシッターさんが下の子を見て、下の子がぐずったら上の子はシッターさんと遊んでお母さんが下の子を抱っこする、ということが当たり前のようになっているようです。
これって、子どもにとっても親にとってもすごく素晴らしい環境ですよね……)
私が感じた課題は以上の3点なのですが、課題だけ言ってもしょうがないので、どうすればいいのかという解決策も、書いていきたいと思います。
まず課題1.費用が高いについて。
シッターさんの時給を下げる、というのは絶対に絶対にやってはいけないことなので、支払う側の負担を減らすために、公的な援助を投入できたらいいんじゃないか、と思います。
例えば、私が住んでいる区では、理由を問わず一時的に子どもを預かってもらえる「生活支援型一時保育」の制度があり、年間60日まで預かってもらえることになっていますが、需要が多すぎて希望日・希望時間にほとんど予約がとれません。
1カ月前の朝9時から予約を受け付けるのですが、9時ちょうどに電話してもつながらず、数分後にやっとつながったと思ったら既に予約がいっぱい、という状況です。
(どうしても予約をとる必要があるとき(上の子の園行事とか)は、小さい子を抱えて朝の9時前から外で並ぶそうです)
もっと定員や預かり場所を増やしてほしいところですが、そのためには施設を整備したり保育士さんを雇ったりと、多大な経費がかかります。
そこで!
例えば、「年間200時間まで、シッター代500円/h分を行政が援助」みたいな制度を作れば、行政は初期費用無しで一時保育の需要に応えられるし、利用者の負担も大きく軽減されます。
負担を減らすためのもう一つの対策は、「シェアシッティング」です。
子ども1人の面倒をみるのと2人をみるのとでは、単純に「×2」になるわけではないので(1歳過ぎのたくさん遊びたい年頃の子は、同年代の子が一緒にいる方が、みている側は楽で子ども自身も楽しかったりします)、「シェアシッティング価格」として「時給×1.5」などで設定し、費用をシェアし合う、というのはいかがでしょうか。
知り合い同士でもいいし、サイト上でマッチングしてもいいし、安全面も配慮して年齢・月齢によって何人まで、と言う風に設定しておけば、安心なのではないかと思います。
続いて、課題2.他人に家に入られることに抵抗があるについて。
これも公的な力を存分にお借りして、地域の児童館でシッティング、というのはいかがでしょう。
児童館なら、安心して子どもと一緒に過ごしてもらえるし、お互いに気を遣うことなく預けることができます。
ここで問題は、少し大きい子になると、小さな児童館で一日過ごすのは窮屈になってしまいます。だからと言って公園などでは安全面が心配で……その場合、例えば神宮外苑のにこにこパークのような、完全に閉ざされた公園だと安心ですし、児童館でも港区の中高生プラザのように広い児童館や、あい・ぽーとのように園庭もある児童館なら、長い時間でも飽きることなく子どもも楽しい時間を過ごすことができます。
本当は、こどもの城があれば、こういうときに一番よかったんですけど!
安全面も十分だし、一日いても時間が足りないくらい子どもも大人も楽しく過ごせるし……。
存続させられなくて無念です。
(例に挙げている施設の地域が偏っていてすみません。実際に利用しているところしか浮かばなかったもので……)
最後に、課題3.「贅沢している」「手抜きしている」と思われそうへの対策について。
これはもう、「卵が先か、鶏が先か」の議論になってしまいますが、「日本にベビーシッターの文化を根付くこと」が最大の解決策だと思います。
その前段階として、1や2の対策が進んで公的にもベビーシッターの利用を応援していることが周知されれば、イメージは変わってくるのではないかと思います。
その先に、子育ては親だけが担うものではなく、社会全体で子どもを育てる、という意識が当たり前になればいいな、と思います。
長々と書いてしまいました。
以上が、私が考える「日本で『ベビーシッター文化』が根付くための課題と対策」でした。
(このぐらいのことは、関係者の方々は既に考えていらっしゃるかもしれませんが……もしそうでしたら、蛇足ですみません……)