ArcaOS 5.0.1 を ThinkPad T430 にインストール その3【更新】 | ArcaOS 5.0 と Silverware のお部屋

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ArcaOS 5.0.1 を ThinkPad T430 にインストール その2」の続き。ArcaOS 上でサウンドカードと Wi-Fi を使えるようにする問題が一挙に解決した。しかも ArcaOS 非サポートの方法 USB Audio Adapter と超小型モバイルルーターを追加することで、ふたつの懸案があっさり終了した。

 

● ThinkPad T430 を無線クライアントにする

まず Wi-Fi の方は "How to set up a Travel Router to provide WiFi capability to an OS/2 computer that lacks WiFi drivers. (WiFi ドライバのない OS/2 コンピュータに WiFi 機能を提供するトラベルルータの使い方)"で Blonde Guy 氏がお薦めする TP-Link WIFI Nano 無線ルータを密林で注文した。

 

 

設定には Wi-Fi 接続可能な Smartphone なり Windows PC が必要になるが、まず ArcaOS を起動した PC とルータをイーサネットと USB (電源用)両方で接続してから、ルータを起動する。そして Wi-Fi 接続可能な Smartphone なり Windows PC からルータの「Wi-Fi 情報カード」に記載されている情報を使って、ルータにログイン設定を仕込む。そしてナノルーターを再起動させれば、ArcaOS PC が無線クライアントに早変わりというわけ。

 


ArcaOS をインストールしたハードウェアにイーサネットドライバは用意されているけれど、Wi-Fi ドライバが見つからないという人にお薦め(ArcaOS で必要な Wi-Fi ドライバが見つけられるほうが稀だが。(笑))。ArcaOS で使えるように Wi-Fi ハックする手間と時間を考えたら、2000円のルータ購入費用なんて大した問題じゃない。

● ThinkPad T430 に USBAudio を追加する

意外に手こずったのがこちら。USBAudio なるデバイスがあるのを知ったのが2017年11月半ば、どうやら ArcaOS を含む OS/2 では C-Media のチップがサポートされているらしいことまでは分かったので、とりあえず Linux 対応が謳われていて C-Media チップらしい「TechRise 外付け サウンドカード」を注文してみた。

 

 

密林から届いてすぐに接続し、Arca Noae が提供する USB Stack (USB 11.17.exe) を導入してみたが、動かない。


そもそも USB Stack の説明にある、

WARNING: This package is an update only. The HC drivers you intend to use must already be installed. This package will not check for or add any HC drivers to your config.sys. If you use the USBAUDIO driver, you must install USBAUDIO support using minstall first, then update the driver afterwards with this package.

USBAUDIO support をインストールするための minstall が何だか分からなくて途方に暮れた。ちなみに ArcaOS Support Wiki には

The USBAUDIO driver which supports some USB audio devices.

とあるだけで、USBAUDIO についてこれ以上の説明はない。「いくつかの USB オーディオデバイスがサポートされている」と書いておきながらこれでは不親切極まりない。

そこで改めて ArcaOS をインストールし直してみたが、やはりインストーラの Configure Hardware の USB や Audio Adapters 内には USBAudio という選択肢はなかった。

ちなみに余談だがスクリーンショットのように Audio Adapters を None つまり「なし」にすると、OS/2 のシステムサウンドなり MMOS2 を構成するほとんどの機能がインストールされなくなる。OS/2Warp のインストーラにはオーディオアダプタの選択後に「マルチメディア機能のインストール」というチェック項目があったが、ArcaOS や eComStation の Installer にはないので、ここはたとえ動作不可でも Universal Audio Driver (UniAudio) を選んでおくのが無難である。

https://trac.netlabs.org/usb

 

ArcaOS Support Wiki に何も書いてないので本当に途方に暮れて、仕方なくソースコードを提供している Netlabs USB ページを覗いてみると、Arca Noae が有償で提供している Version 11.xx 以外に、Hobbes OS/2 で無償公開されている USB Driver for OS/2 Version 10.xx があるという(無償版があるのは知っていたが、これまで使ったことはなかった)。最新版は 2017 年 12 月 15 日公開の v10.220 である。

 

 

なぜか公開バージョンが古いのでもしやこれが ArcaNoae 版にアップデートする前の本体かもと思い付き、Hobbes OS/2 で usbdrv220.zip をアーカイバツールで覗くと、mmos2 の配下に usbaudio.zip があったので、これを適当なフォルダ(以下の例では D:\tool\usbaudio にした)に展開した。

 

必要なファイルが展開されるので展開先から OS/2 ウィンドウで minstall を実行した。すると MINSTALL - Multimedia Installer (CLI/CID) が起動したので、「あ、これのこと」かと。笑い泣き

インストールするアダプタの数(最大 1)と確認の Enter をたたくだけで、 Return-Code FE00 にたどり着けた。この時点までに CONFIG.SYS ファイルにも

REM *** MMOS/2 ***

DEVICE=C:\MMOS2\USBAUDIO.SYS /V

の2行が追加されてドライバのセットアップは完了する(説明は省略するが USBWAV.ZIP も同様の手順を踏んだ)。

 

そして ArcaOS を再起動する前に CONFIG.SYS を編集して、UniAudio Driver が指定する2行(UNIAUD32.SYS と UNIAUD16.SYS)をコメントアウトさせればいいかと思ってやってみたが、再起動してもうまくいかなかった。再起動時よくありがちな SYS1201 のようなエラーが出ないのだが、どうやら注意点がふたつあるらしい。

 

まず USBAudio の minstall を実行する前に UniAudio をシステムから削除しておく必要があること。Installing a new Sound Card in OS/2 によれば、CONFIG.SYS の編集の他に、ArcaOS インストールボリュームにある mmos2 フォルダ内の mmpm2.ini というテキストファイルにある、

    "WaveAudio="
    "Sequencer="
    "Ampmix="

で始まる3行を削除するようにとある(ただし UniAudio の場合 Sequencer はなかったかもしれない)。

そしてもうひとつはバグ報告のためにも USB Driver のバージョンを混在させないこと。USB Driver v10.220 収録の readusb.txt によれば、

Q: Can I mix the ArcaNoae drivers with the ones from the package ?
A: No you cannot, except for USBMSD.ADD. The ArcaNoae drivers have a builtin version check that will fail with the drivers from this package. The exception (for now) is USBMSD.ADD which is an updated version that is currently under development.

Q: Can I mix different versions of drivers ?
A: No you cannot. The problems is that there are logical dependencies between USBHID.SYS and USBMOUSE.SYS/USBKBD.SYS,between USBD.SYS and USBAUDIO.SYS/USBMSD.ADD/USBCOM.SYS/USBPRT.SYS/USBHID.SYS/USBETHR.OS2 and between USBD.SYS and USBUHCD.SYS/USBOHCD.SYS/USBEHCD.SYS. Putting it all together: all drivers are directly or indirectly dependent on one another.

例外的な USBMSD.ADD 以外の USB Driver は USBD.SYS と相互依存の関係にあるため、Arca Noae 版との共存はできないという。

 

そもそも USBAUDIO ドライバである USBAUDIO.SYS に至ってはバージョンによって組み込み先が異なる。というのも

何気なく bldlevel を調べていたら、インストールしていないはずの Arca Noae 版の usbaudio.sys が見つかったので調べてみたら、\OS2\BOOT ディレクトリだったりしてね。ArcaOS Installer では USBAudio が選択できなくて CONFIG.SYS にも登録されないのに、しれっとドライバだけは BOOT ディレクトリに放り込んでくれるらしい。

 

実際 minstall でセットアップした正規の USBAUDIO.SYS は \MMOS2 ディレクトリにあり、こちらが CONFIG.SYS に記述されているので、\OS2\BOOT にある紛らわしい奴は削除した(笑)のだが、USBAUDIO.SYS 以外の USB デバイスドライバも Lars Erdmann 氏の 10.220 を ArcaNoae 版に上書き導入して再起動したら、USBAudio が機能するようになった。

 

もっとも OS/2World.com Forum で Blonde Guy 氏がドライバのバージョンを混在させても USBAudio が動作している旨の報告があったはずなので、必ずしも二つ目のポイントは必須でないかもしれない。とはいえどうせ ArcaOS のサポートで USB Stack 11.16 以前のドライバはサポートされないし、v10..220 をビルドした Lars Erdmann 氏も ArcaNoae 版を毛嫌いしているようなので、まともな USBAudio のサポートを受けるには v10.220 で統一しておくのが無難かもしれない

なお寝落ちして起きたら Trap D が出ていた件は、どうやら何かの拍子で背面にある USB Audio adapter がぐらついたせいではないかと。ベッドサイドに雑誌を積み上げて寝ながら作業の置き場を作ってからは、Trap がでなくなりましたとさ。メデタシメデタシ

 

年末まで出番がなくてホコリをかぶっていた ThinkPad T430 がなんとか現役復帰完了(一時はあまりの利用価値の低さに Windows 10 を入れなおそうかと思っていたくらい)。しかも UniAudio と違って Volume も効く。ただし USB Adapter Midi に期待して、SimCity 2000 for OS/2 Demo を入れてみたのだが、効果音は出せても音楽は無理だった(なぜか ArcaOS 上では PMView でキャプチャさせてくれない SimCity 2000)。

 

さあお次は超難関の日本語入力環境の構築だが、「Win-OS2を使うのは嫌だ」とかなんだかんだ言って肝心なものは手に入れてあったりする。しかし USB 接続のディスケットドライブを選ぶところでやる気が出ない(ぉぃ

そろそろポケモン Go をしに出掛けるか。

 

【2017.1/5 3:57追記】昨日箱根から帰還途上に電車の中で読んだらなんだか分かりづらい文章だったので、文意を変えない範囲で修正。図も追加した。

【2017.1.7 3:57追記】そういえば UniAudio を使って聞こえないと ArcaOS Bugtracker で報告した人に、昨年暮れ「使えない UniAudio をアンインストールして USBAudio を使え」と書き込んだところ、Arca Noae のドンである Lewis Rosenthal からこういう指摘を受けた。

「サードパーティコンポーネントだから USBAUDIO はサポートしない」し、この場で「うちで動いたから USBAudio を試してみな」みたいな書き込みは自重してくれ、という。さらに相談者が報告していない UniAudio の testlog の書き方を説明しているが、日付に注目してほしい。 Data Submitted 2017-05-30 つまり最初の投稿から実に 7 ヶ月以上も経ってから、こんな基本的なことを書いてお茶を濁しているのだ。

では百歩譲って testlog を報告したらどうなるかって、Bugtracker で UniAudio 関連の ticket を抜き出してみよう。

UniAudio が動かない/音が変だっていうので testog を投稿した人は他にも大勢いるのだが、何ひとつ解決 (resolved) していないのが現状。そもそも no sound の報告でステータスが new のまま放置されているのだって多くある。そして closed された ticket の中にはこういうものまである。

これは ArcaOS 5.0 リリース前のβテスターから投稿されたものだが、UniAudio をインストールした ThinkPad T520 でボリュームコントロールが効かないという問題に対し、半年も経ってから「UniAudio のミキサーの問題は修正しない」と表明しただけ。

しかもこれは USBAudio 開発者から現行の UniAudio が抱える、2つのボリューム設定をもつ MMPM サブシステムに準拠していない問題点を指摘された上での話。

だいたいね、いまさら顔真っ赤にして "We do not support USBAUDIO."と書いたところで、じゃあ ArcaOS でインストールされる/USB Stack 11.17 に収録されている Arca Noae LLC の権利者表示の入った usbaudio.sys はいったい何か、と小一時間(笑)

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【2018.1/26 追記】OS2.jp ニュースで報告済みだが、今月 UniAudio 2.02.04 がリリースされた。マイナーアップデートと聞いていたので最初は使う気がなかったのだが、ThinkPad T430s で動作報告があったので、ArcaOS をクリーンインストールしたついでに UniAudio ドライバを試してみたところ、

 

動作した。とくにオプションを指定することなく無事に鳴ったし、ボリュームコントロールもできた。もしこれで鳴らなかった場合、ダメもとで /A:1 オプションを試してみてほしい。それでもダメなら USBAudio という手が今ならまだある。

 

というのも USBAudio for OS/2 の将来に関して悲しいお知らせがあるからだ。

ここでいう xHCI とは USB3.0 のホストコントローラ Extensible Host Controller Interface を指すだろうから、32bit 化した USB 3.0 サポートが実現すれば USBAUDIO.SYS は使えなくなるという。