サイバーエージェント、ドロップシッピング事業から撤退。子会社を清算 | Eコマースに関する情報

サイバーエージェント、ドロップシッピング事業から撤退。子会社を清算

 株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表:藤田晋)は9月27日、同社100%子会社でドロップシッピング関連事業を手がける株式会社ストアファクトリー(本社:東京都渋谷区、代表:大八木晋平)やインターネットを活用した出版事業を行う目的で設立された株式会社アメーバブックス(本社:東京都渋谷区、代表:藤田晋)の解散および清算を決議した。

 ストアファクトリーの清算結了は2007年12月4日の予定。同社2007年9月期中間期業績は、売上高 9百万円、営業利益 -43百万円、経常利益 -43百万円、当期純利益 -30百万円。 一方、アメーバブックスの清算結了は2007年11月30日を予定。2006年9月期業績は、売上高 304百万円、営業利益 -67百万円、経常利益 -71百万円、当期純利益 -60百万円。

 また9月26日には、サイバーエージェント連結子会社の株式会社シーエー・モバイル(本社:東京都渋谷区、代表:外川穣)がシーエー・モバイルグループにおける携帯コンテンツ事業の合理化を理由に同社子会社の株式会社JIZAI(本社:東京都目黒区、代表:石川幸夫)の解散および清算を明らかにしている。

 一連の流れについてサイバーエージェントは、「今回の解散および清算は不採算事業の閉鎖という事業的判断によるもの。とりあえずは今回の件で解散・清算案件はほぼ終了となる。基本的には、弊社事業育成のCAJJプログラム(Cyber Agent Jigyo&Jinzai ikusei program)の規定に沿ったかたちですすめているが、画一的に処理するのではなく、市場の成長性が見込める場合には役員交代による事業継続を行うケースもある」と説明。

 ストアファクトリーが手がけてきたドロップシッピング事業の「ミセつく」は、度重なるサービス開始時期の延期やサービス開始後のサーバアクセス混雑などにより、スタートダッシュでつまづいてしまった感は否めない。サイバーエージェントは「ストアファクトリーの解散については、ドロップシッピング市場自体のひろがりにあまり期待できないのが理由。今後もドロップシッピング事業への参入は考えていない。実際、ドロップシッピング事業で成功している企業もあまり見かけない」と述べた。

 現在リアルコミュニケーション・もしも・ケンコーコム・電脳卸などがドロップシッピング業者として有名だが、今回のこのニュースは、単独のドロップシッピングビジネスの難しさを露呈したものである。サイバーエージェントという大きな組織の一部分だからこそ早期撤退ができたのであろうが、通常のドメインビジネスとして運営している会社ではこの段階での撤退は難しいであろう。

 ドロップシッピング事業は、アフィリエイト事業と同じく、大きく発展をする可能性があるとして早くから注目を浴びていた。ただ、実際に個人を中心としたアフィリエイターがリスクを持ち煩雑な業務を伴うこのモデルには、私自身も当初から疑問を持っていた。アフィリエイトよりも報酬額(粗利額)が大きいとはいえ、お店の信用力のない状態での売上拡大は単にアクセス数を増やしWebサイト内容とのシナジーを持った商品の掲載という簡単なモデルではなく、小売業としての知識を問われる部分が大きい。その意味でも、既存アフィリエイターは結局大手を中心としたECサイトの広告掲載に戻っていくと思われる。

 ただその中でも、元々商品掲載からアフィリエイトにつなげる電脳卸のやり方は、ドロップシッピングに近いアフィリエイトであった。ということを考えると、電脳卸は大きなドライブがないものの固く事業を伸ばしていける可能性が高い。また、ケンコーコムのドロップシッピングも、元々自社の直販商材の物流システムを流用した仕組みのため、シナジーも大きく、固く事業を伸ばしていけるのではないかと思われる。



http://www.cyberagent.co.jp/news/press/2007/0927_2.html