ぼくも素直ないい人になりそうな気がする!〜高架下のビオトープを見学した(その2)〜 | 大山顕の首都高エコマニア

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首都高の環境への取り組みを取材していきます!ときにはかっこいいジャンクションをご紹介することも!


↑高架下のビオトープにちびっこ大集合の図

前回エントリで首都高の高架下にあるビオトープに行ってきた顛末を書きました。読み返すと、ぼくのあまのじゃくな性格が遺憾なく表現された記事だなこりゃ。


↑このビオトープに住む虫や動物についてのレクチャー。幼稚園児ってちゃんとおとなしく大人の言うこと聞くもんだなー、って感心した。

で、今回はその続き。

ぼくはジャンクションとか工場なんかを見てめぐっている人間なわけですが、思い返せば野山で遊んだ経験がほとんどない。ぼくが生まれ育ったのは千葉県の船橋市。準工業地域で遊んでいたので、ぼくのノスタルジーは巨大な倉庫街や工事現場にあったりする。

なので、「子供に自然体験を」というよくある催しに対して「ケッ!」って思っちゃうところがあるわけです。


↑そこへ、むこうからやおらパンダとウサギが!

いや、わかるよ。たぶん工事現場に積まれた残土で鬼ごっこするよりは、やっぱり植物や虫とともに遊んだ方がいいんだろうなー、とは思うよ。頭ではね。でもそれを認めちゃうと自分がダメ人間だと認めざるを得ないことになるわけで(←自分のダメ加減を育った環境に転嫁)。だからそういうふうに斜に構えちゃう。

だいたい、情操教育の対象として人工物と植物の間に、いったいどういう本質的な違いがあるって言うんだよ!と思ったりしていたわけです。ええ、逆ギレってやつです。

で、今回その違いを実感したのです。やはり、ぼくは間違っていました。あのね、人工物と植物の間にはある大きな違いがありますよ確かに!今回の記事はそれについて。前回の続きです。

さて、高架下のビオトープで子供たちによる「虫取り」が始まります。


↑薮をかき分け虫を探す園児たち。


↑果敢に薮を攻めすぎではないか。だいじょうぶか。


↑熱心に虫を探す子供たちと、それを見守るウサギとパンダ。場所は高架下のビオトープ。なにこの光景。

ウサギとパンダは、園児たちの集中力が切れてバラバラにならないように、という対策とのこと。でもその心配はあまりなかったように見えた。なんせ、子供たち虫に夢中。

ぼくはもういい歳なのに結婚もせず、もちろん子供もいないわけで、こうやって間近に幼稚園児の行動を見る機会がない。見ていておもしろく思ったことのひとつとしては「子供って躊躇なく虫とかカエルに触るよなー」ってこと。男の子も女の子も関係なくばしばし捕まえる。何歳ぐらいから虫を触れなくなっちゃうんだろう。特に女の子。

さらにおもしろいのは、一緒に来ていた彼らのお母様方もどんどん捕まえてたってこと。これは勝手な想像だけど、お母様方も高校生ぐらいの頃は虫触れなかったんじゃないだろうかと思うのだ。子供をもって、母親も再び子供に返るということか。


↑みんなけっこうな数の虫やカエルを捕らえてた。

最初は「ここにそんなに虫いるか?」って思ってたんだけど、あれよあれよというまに園児たちが戦利品をケースの中にためていく。見た目以上にたくさんの生き物がいるのだなあ、と実感。


↑みんなで捕まえた虫やカエルを報告し合って、その後リリースします。

冒頭に書いたように斜に構えた心持ちで臨んだ部分があったので、正直、今回の取材そんなにおもしろくないんじゃないかと思ってたけど、いやー、楽しかった!

何が楽しかったんだろう、と考えて分かったのが「人工物と植物の間にはある大きな違い」なわけです。それはなにかというと情報量の圧倒的な違いなのですよ。

あいかわらず「自然の癒し」とか「ぬくもり」とかはあまり信じる気にならないのだけれども、そんなぼくでも植物や昆虫の気が遠くなるような精密さや機能にあらためて感動したのです。例えば葉っぱ一枚の形を見ても、その形の絶妙さはすごい。自然による造形物は、そこからいくらでも学ぶことが取り出せる尽きせぬ源泉なのだ。お、なんか良いこと言っているぞぼく。


↑虫取りのあとは、ビオトープ内の池にあらかじめ仕掛けておいたワナにかかっている水棲生物をみんなで見てみます

単純にいって、人間はまだ生き物を生み出すことができていないわけでして。子供にそういう圧倒的な情報量の中で戯れさせるっていうのは、絶対意味があるよなあ、と思い直した次第。

で思い出したんだけど、ぼくも工事現場の雑草が生い茂っているところでバッタ捕ったりしてましたよ。それは前回エントリで書いた「日本人には水や植物に対するハングリーさがない」という話とも関係しているわけです。つまり、人間はバッタ一匹作ることができないけど、こうやって、ビオトープという形で環境を用意してやればいい。そうすれば虫や鳥がそこを住みかとする。動植物は失われやすいけど、同時にタフでもある。


↑ワナの中にいた生き物に見入る園児たち

ぼくがジャンクションにぐっとくるのは人間が作ったものだからなんだけど、それを計画・建設・維持管理する首都高さんが一方で「人間に作り得ない」動植物をこういう形で高架の下に住まわせる、っていうのにもまたぐっときた。


↑ただ、タフではあるけれどバランスは難しくて、こうやって外来種であるアメリカザリガニから葦を守っている、という事態も


↑あと、橋脚のこの部分が虫っぽいと思った。

いまはこういう機会にしか開放していないこのビオトープ。いずれは自由に出入りできる場所にすることも検討しているとのこと。2、3年後にまた行ってみてどうなっているか見てみたいです。