こちらの本を読んだ感想です。
刑務所への出入りを繰り返す犯罪者は「いい子」だった者が多い。
自分の感情を素直に出さず、幼少期から無理を重ね、
親の期待する役割を演じることに耐えられなくなった時、
積もりに積もった否定的感情が「犯罪」という形で爆発するのだ。
とはじめに書いてあったこの言葉にとても納得しました!
刑務所や少年院に入っている人に事件を起こした理由を聞くと、
「悪い仲間とつきあったことがきっかけだった」とか、
「覚醒剤を使ったから」などと答えるそうですが、
問題はそこではなく、なぜ悪い仲間と付き合うようになったのか?
なぜ覚醒剤に手を出したか?という原点を理解することが大事で
それがないまま「二度とやりません」「反省しています」と言っても、
また犯罪を繰り返すことになるそうです。。
過去を振り返らせ、自分の内面と向き合い、なぜそうなったのか?
非行に走った原点がどこにあるのか?を理解させないと
「固い決意と謝罪は何の抑止力にもならない」と書いてありました。
また、親に迷惑をかけたことを反省し、謝罪するパターンは、
「親から迷惑をかけられたことによる怒りや憎しみ」に
フタをすることになるので、自己理解は得られないとも書いてありました。
「自分は幸せな家庭で育ったと思う」と言った大学生が、
子どもの頃、不登校になったり、友達の筆箱を盗んだ例を出して、
本当に幸せな家庭で育ったならこのような問題行動は起こさない
と指摘したうえで、
学校に行けない「本当の理由」を親に言えなかったり、
友達に「いいなあ、それ、欲しいなあ」と言えなかったのは、
親の顔色を窺い、自分の気持ちを素直に出せずに育ったからで
自分の幼少期の親子関係にあると理解することが大切だ
とも書いてありました。
それがないまま「たんなる物欲」や「怠惰だったから」で済ますと、
エスカレートし、最悪、罪を犯すことになると書いてありました💦
「万引き依存症」を改善するには、どんな時に万引きしていたか、
その時の気持ちや実行するまでの過程に目を向けることが大切だ
とこちらに書きましたが、
全ての犯罪に共通するのは、そうなった根本理由を
本人が理解することなんだなと思いました。。
宮本亜門さんの話も例として書いてありましたが、
高校生の頃、引きこもり⇒自殺未遂をしたことがあったそうです。
その原点となったのは、幼稚園から習ってた日本舞踊で、
首に白粉が付いていたのをからかわれ、「踊りを止めたい」
と親に言ったけれど、「バカね、ほうっておきなさい」と言われ、
それからずっと苦しみを笑顔で封じ込めるようになったそうです。。
自殺未遂後、精神科に通院し、
「否定せずに、ただ話を聞いてくれる人」に出会えたおかげで、
それまで抑圧していた否定的感情を解放できたことで立ち直り、
「あの頃は僕にとっては必要な、魂を育てる大事な時期だった」
と言っていたそうです。
不登校であれ、引きこもりであれ、犯罪であれ、
およそ「問題行動を起こした人」を支援するために必要なことは
そこに至ったプロセスや原点=その人を理解することです。
と書いてありましたが、
心屋でも「言えると癒える」という言葉があるように、
人は本当の感情を出せると、魂が解放されて元気になるようです。
犯罪者には、残酷な事件の話を笑って話す人がいるそうですが、
その理由は、幼い頃にいじめられたり、親に虐待されたりして、
苦しかったり悲しい時に「笑う」という「偽の感情」を出すことで
「感情をマヒさせたから」だそうです。。
「悲しい時に悲しい感情を出せない人」は、心の痛みに鈍感で、
人を傷つけることにも鈍感になってしまい、とても危ういそうです。
犯罪者は、心の根っこは深く傷つき、腐っているので、
罰を与えても解決にならず、愛情を与えてやらないといけません。
更生するためには、幼少期に感じていた悲しみや辛さといった
否定的感情を「感じること」から始めないといけません。
自分の感情を素直に感じ、表現できるようになること。
それは感情をマヒさせた受刑者にとって、すごい苦痛を伴います。
「幼少期の自分に戻って『つらかった』と本当の感情を出すことが
受刑者には相当にキツイことなのです」と書いてありましたが、
犯罪者でなくても、ずっと感情を封印してきた人たちには、
同じように難しいことだろうな~と思いました。(笑)
多くの犯罪者に共通するのが、「愛された実感」が乏しく、
「他者から評価を得たい=注目を浴びたい=愛されたい」
という気持ちで、
無視されたように感じると、孤独になる恐怖感から怒りを感じ、
それが事件を起こす引き金になるそうです。。
そもそも犯罪者の多くは、自分の悩みを相手に話す習慣がなく、
人間関係もうまく作れす、人に頼ることが出来ないそうです。
「心を開けば(心を許せば)、より心を傷つけられることになる」
という一人の受刑者が言った言葉が悲しく心に響きました。。
「悩みや苦しみを誰にも相談できずに、一人で抱えてしまうことが
犯罪につながる最大の要因だ」と繰り返し書いてありましたが、
覚醒剤で捕まった酒井法子さんの場合もまさにそれで、
「多くの人の顔が浮かんだけれど、誰にも相談できなかった」
と「贖罪」に書かれていたそうです。。
幼少期の複雑な家庭環境(両親の離婚や再婚)のせいで、
「素直に感情を出せずに、ずっと無理して笑顔で頑張ってきた」
という彼女は、つらい過去と向き合わずに手放しているだけなので
再犯の可能性が高いとも書いてありました…💦
本当の気持ちや感情を出さないと、気づきは得られず、
気づきが得られないと、人は変われません。
と書いてありましたが、
幼少期に「甘えちゃダメ!」と言われて育つと、
しんどいことや悲しいことがあっても、それを人に言えず、
一人で抱え込むようになり、苦しむことになるので、
幼少期に甘えを受け止めてもらうことは大事だと思いました。
子どもを躾ける時は、
それは本当に叱らなければいけないことなのか?
親に刷り込まれた価値観に過ぎないのでないか?
と立ち止まって考えてみる必要があるそうです。
子どもは親の言うこと(支持・命令)を守れなかった時、
親に怒られたくないので、ウソを言ってしまいますが、
「子どもがウソをつく原因は親が作っている」とも言えるそうです。
「嘘をつくな!」と叱り、子どもに「ごめんなさい」と謝罪させることは
犯罪を犯した受刑者に「もうしません」と反省させるのと同じで、
効果はないどころか、かえって良くないそうです💦
子どもが「ウソをつく」という問題行動をした時は、
「子どもの本当の気持ちを知るチャンス」なので、
子どもの言葉に耳を傾けることが大事だと書いてありました。
具体的には、「何か言われて嫌だなと思ったことはある?」とか
「親に言われて、怖いなとか、悲しいなと思ったことはある?」
「何か我慢してることはない?」と問題の原点を探ってみること。
子どもが自分の気持ちを抑圧することなく、
「嫌だなあ」「しんどいなあ」と素直に言えるようにすることが
子育てにおいて、とても大事だと分かりました。
親に「ウソをついいてはいけない」と言われ、我慢しすぎた結果、
大学のサークルで、100万円を横領した学生がいたそうです💦
その学生は、小さい頃、親に「ゲームを買ってほしい」と言えずに、
親の財布からお金を盗んでいたことが、この問題の原点だった
と書いてありました。。
犯罪に至るのは、大抵がこんな感じで、
「叱られるのが嫌なのでウソをつく⇒ウソがばれる⇒叱られる⇒
バレないようにウソをつく⇒最後に大きな事件を起こす」
という流れになっているそうです。
それだけでなく、「ウソをつく自分を嫌い、自信が持てず、
自分を大切に出来なくなり、他人も大事にできない」
と次々に連鎖していくとも書いてありました。。
感情を軽視して、「苦しい」と言えないと、
「私は苦しくない」「このくらい平気!」と思考を働かせて、
苦しいのに笑ったり、苦しいという感情にフタをしてしまう結果、
不登校になったり、腹痛や頭痛などの症状が現れるそうです。。
たった一言でも「苦しいんだ」と本当の感情を言えると
心の中に閉じ込めた感情が外に出て、心も体もラクになるので、
普段から「うれしい」「悲しい」など
素直に感情を表現することが大事だな~と改めて思いました。
また「大丈夫?」と聞くと、大抵の人は「大丈夫」と言ってしまうので
「痛かったでしょう」とか「つらそうね、何かあった?」と言った方が、
人は本音を言いやすいとも書いてありました。
自分にも「本当に大丈夫?」「無理していない?」と気をつけて問いかけてみることが大事だそうです♪
「迷惑をかけてはいけない」と思って、「大丈夫」と言う人ほど、
問題を一人で抱え込んでしまうので、危ないそうです💦
一人で出来ることでも「ちょっと手伝ってくれませんか?」
と誰かに頼って「助け合う」習慣をつけることが大事だそうです。
最後に、
「罰を与えると人は悪くなる。愛を与えると人は良くなる」
「人によって傷つけられた傷は、人によってしか癒されない」
という言葉が心に響きました。
生きづらさを感じている昭和生まれの人にはおススメです!(笑)