昨年中欧へ行ってまいりまして、ウィーンという街が本やテレビ、新聞なんかで、特集されてると、
思わず見入ってしまうようになりました。
王宮や宮殿なんかが出てくると、「あ~、ここ行った行った!」なんて記憶をたどりながら一人悦に入る
オレです(笑)。
で、今回読んだのが、
| 『ドナウよ、静かに流れよ』 大崎善生 |
でございます。

ある日、大崎(作者本人)が新聞を読んでいると、紙面の片隅にあった、
「邦人男女、ドナウ河へ入水自殺!?」
という記事が目に飛び込んできた。
なんでも、自称指揮者の30代男性と、現地の大学に通い始めたばかりの19歳の女子大生がウィーン郊外の
ドナウ河岸に、水死体で発見されたそうな。しかも、ホームレス状態だと。
縁もゆかりもないこの男女に、大崎はなぜか関心を寄せる。自身のツテで調べていくと、意外な繋がりが
見えてくる。
夢も希望もあるだろう19歳の女子大生が、なぜホームレス状態に身を落とし、なぜ30代の男性と共に、
身を投げたのか……
事実は小説より奇なり、とよくいいますが、このノンフィクション小説を読むにあたってまさにその言葉が
頭に浮かんできた。
調べていくうちに、自分と近い存在の人であることがわかったり、女子大生の同級生には惨殺事件の被害者
となって、報道にも多く取り上げられていたなど、いろんな事実があがってくる。
また、そうした事実のひとつひとつが、今回の中心人物である女子大生の人間形成に大きく作用している
ことが伺える。
確かに世の中にはいろんな考え方を持つ人がいる。世間から疎まれても蔑まれても、信念を変えない人がいる。
良いとか悪いとかは一概には言えないけど、そんな人を愛する人も世の中には必ず存在する。
若さゆえ、という言葉だけでは片付けられない何かが、当人たちの間にはあったのかもしれない。
理解されない苦しみと、何とかしてあげたいという周りの気持ち、そして最期に悲しみと苦しみを一手に受けた
御両親の心中は察するに余りある。
オレらが行く前に、ウィーンでこんなことがあったんだなぁ……とちょっと驚きました。
作者は映画「アジアンタムブルー」の原作者でもありますね。