名が消える。それは存在の消滅を意味する。

これは死ではない。

つまり、私は最初から生まれなかったこととなる。そう世界が修正されるのだ。


あの人も私を忘れてしまうのかな。

ただ1人、大好きなあの人にだけ捧げた私の名前。

結局、最後まで呼んでもらえなかったな。


そういえば、あの人はどんな声だったろうか。どんな顔だったろうか。頭の中を駆けていくこの思い出達は、刹那の幻だったのだろうか。


結ばれていた糸がさらさらと解け、私の存在が命が零れ落ちていく。世界から私が消えていく。

嗚呼、私はなんだっけ。

自分すらも分からなくなって。

終わりへの恐怖と寒さに身を震わせた。