今朝、公衆温泉に行って、風呂から上がって、ドライヤーで少ない髪の毛を乾かしている時に、ふと、思い出しました。
私の行く公衆温泉は、通常は、隣町の温泉より高い入浴料なので、早朝の半額時に行くことにしております。入浴料、高さに見合って、ここは、シャンプー、ボディソープ、備え付けの使い放題。ドライヤーも無料、時間制限ナシですので、イジキタナイ私は、必ず使わせてもらうことにしております。
風呂から上がって、体重でも測ろうか、いや、その前に髪を乾かそう、と、思ったわけです。乾かした分だけ、体重軽くなるじゃん、というのが理由。まるで、減量して、体重を気にするボクサーみたいだな、と、思った瞬間、力石徹の姿が、脳裏にひらめいたのでした。
力石徹、名作ボクシングマンガ「明日のジョー」に出てきた、主人公、矢吹丈のライバルです。少年院で一緒だった、この時もライバルだった二人。プロボクサーになってから、因縁の決着をつけようにも、プロボクシングには、体重による階級というのがあって、二人はひとつのリングで闘う事ができない。方法は一つ、階級が上の力石が、ジョーの階級まで、体重を落とすしかない、過激極まる減量作戦が、ここに始まるのでした。
食事制限はもちろんの事、水分摂取も厳しく制限されるこの減量、迫力がありすぎました。特に、水が飲みたくてたまらず、ジムの共同水道に行った力石の目に映ったのは、全ての蛇口のハンドルが太い針金を巻いて動かないようにしてある光景というシーン、今でも忘れられません。そこは、マンガ家、ちばてつやの渾身の画力によるところが、大きいですね。
かくして減量に成功し、ジョーとの試合に彼は臨む、激闘の末、勝利を掴むのですが、過激な減量が災いする、
ジャッジが終わって、握手の手をジョーに差し出そうとしたまま、力石徹は、前のめりに倒れます、そして、そのまま、絶命していくのでした。
この壮絶な話、掲載誌、少年マガジンで、実際に力石徹の葬儀を開いて、多くのファンが弔問に訪れたと、当時ずいぶん話題になりました。
その後ジョーは、何人もの強敵と相まみえ、最後に世界チャンピオン、ホセ.メンドーサと対決して、かの有名なラストシーンを迎えるのでした、それが最初の画像。このラストシーン、原作者の意向を振り切った、マンガ担当のちばてつやの考えたものだそうです。
何が言いたいかといえば、明日のジョーの原作者は、高森朝雄、実は、梶原一騎の本名ということで、私は、この原作者が好きじゃない、しかし、「明日のジョー」は、私の乏しいマンガ体験の中でも、ベストに入る傑作だと思うし、それは、作画担当のちばてつやが、原作者の意向を度々振り切って、自分のストーリーで突っ走ったというところが、かなりあるらしい、という点に原因を求めたい、というような事を、思っているのですが。