9月4日の福井新聞に、福井市議会の議長の改選の記事が載りました。
これまでは6月議会での1年交代が慣例となっていたようですが、今年は見送られており、その背景について解説していました。
新議長に選出されたのは、5期目となる吉田琴一氏です。
この方、現在は政友会という保守系会派に所属していますが、4月までは民主・社民系会派の市民クラブに所属していた人物です。
実は、6月の定例議会でも吉田氏を擁立する動きがあったようですが、参院選を7月に控えて、自民党以外の議長選出は避けるべきだという判断が働いたようです。
と言われても、一般市民には何のことかよく分からないので、推測で申し訳ないのですが、一庶民に映る事柄を書いてみたいと思います。
まず、福井市議会の会派を整理しておくと、次のような感じです。一応、協力関係にある会派で色分けしてみました。
志政会 (10人) 自民系
一真会 (8人) 自民系
市民クラブ (5人) 民主・社民系
政友会 (3人) 保守系?
公明党 (3人)
共産党 (2人)
見ての通り、自民党が、志政会と一真会の二つの会派に分かれて議長職を巡って争っており、13人VS16人で一真会側が主導権を握っているという構図のようです。
興味深いのは、前議長の見谷喜代三氏は一真会に、新議長の吉田琴一氏は政友会に所属しているということです。
ここからは全くの推測ですが、見谷喜代三氏の選出にあたって、次の議長は吉田琴一氏に、という密約があったものと推察されます。
その時点で吉田琴一氏は、民主党系の市民クラブに所属していたのですが、昨年12月の衆院選で民主党が大敗し、安倍政権が誕生します。
そうなると、一真会としては市民クラブからの議長の選出は難しくなると考えたのか、今年の4月に吉田琴一氏と皆川信正氏が市民クラブを離脱して、1人会派だった政友会に合流します。
それでも6月議会での吉田琴一氏の推薦は、7月に参院選を控えた一真会としてはまずかろうと判断し、9月議会に先送りという形で手を打った、ということのようです。
「取材ノート」というコラムでは、「市民とっては極めて分かりにくい構図」とし、ポスト争いに終始する市議会の様子を批判的に扱っていました。
保守系同士の対立が表面化したのは、2010年に民主党の栗田政次氏が議長に選出されたことのようですが、水面下ではもっと以前から積み重ねられてきたもののようです。
記事では次のようなコメントを掲載していました。
ベテラン議員
「発端はもっと以前にさかのぼる。誰も外向けに説明なんてできない。」
一部の議員
「市民は知らなくてもいい話だから、明らかにする必要はない。」
細川善弘記者は、「4月施行の議会基本条例で高らかにうたった「開かれた議会」の理念は、いったいどこに行ったのか。」と手厳しいですが、まったくその通りです。
特に、「市民は知らなくてもいい話」などとふざけたことを口にする議員は、次の選挙で落とすべきだと思うので、名前を公表してもらいたいぐらいです。
個人的には、たかが地方議会のポスト争いなど早く卒業してほしいのですが、少なくとも異例の処置がとられたことに対しては、一定の説明責任があろうかと思います。
その責任を果たさない以上、根拠のない憶測をされても文句は言えないような気がするのでした。
さて、個人的に気になるのは、吉田琴一氏と共に市民クラブを離脱した、皆川信正氏だったりします。
当選回数4回以上の方で議長職に就いていないのは、皆川信正氏(4期目)と共産党の西村公子氏(7期目)だけです。
最長老は西村氏になるのですが、これまで福井市議会では女性が議長になったことはなく、しかも共産党の方とあってはさすがに難しかろうと思います。
そうなってくると、皆川氏としては3期目の人間に議長職を譲るわけにはいかないといったところで、次の議長職を目論んでの動きではないかと勘繰ってしまいました。
いずれにしても、議員が市民に事情を説明できなような福井市議会の在り方は不健全であり、福井市民としては恥ずべき状態であることは間違いありません。
ちょうど次の地方選挙ではネット選挙が解禁されており、個人的には落選運動も楽しそうだと思っていたりします。
もちろん、議員の方々にちゃんと説明していただければその限りではありませんが・・・。