10月20日(土)東京交響楽団第549回定期演奏会
ヘンツェ:オペラ「ルプパ ― ヤツガシラと息子の愛の勝利」(舞台演出付演奏会形式、全2幕、字幕付、日本初演)を観てきました。
指揮=飯森範親
アル・カジム=ラウリ・ヴァサール(バリトン)
バディアト=ぴかまま(ソプラノ)
デーモン=トム・アレン(テノール)
老人=松下雅人(バス)
アジブ=ファブリス・ディ・ファルコ(カウンター・テナー)
マリク=小川明子(メゾ・ソプラノ)
ディジャブ=小野和彦(バス)
ガリブ=ジェローム・ヴァルニエ(バリトン)
ヴォーカル・アンサンブル=東京混声合唱団
舞台演出=飯塚励生
あらすじ
第1幕
昔むかし、アラブでのお話。色彩豊かで高貴な鳥<ルプパ(ヤツガシラ)>が毎日窓辺に訪れるのを、年老いた王は楽しみにしていた。<ルプパ>は冠羽を持ちその羽は金色に輝く。ある時、王が幸福と感動のあまり捕らえようとしたところ、<ルプパ>はその手をくちばしで一突きして飛び去り、それ以来現れることがない。
悲しみにくれる王は3人の息子たちを<ルプパ>を捜すため送り出そうとするが、やる気のない2人の兄たちにだまされ、末っ子のアル・カジム1人が過酷な旅に出ることになる。途中天使のように親切なデーモンと出会い、その助けを借りてパーテ王国にいた<ルプパ>を手に入れることに成功する。
第2幕
パーテ王マリクから、暴君ディジャブに誘拐された王女バディアトを救い出してほしいと、頼まれたカジムは、南の地キンプガーニまで旅を続ける。そこで二人は出会い、たちまち恋に落ちる。二人の固い絆にディジャブは許しを与え、二人を解放する。そしてカジムとバディアトとデーモンの3人は、ディジャブから聞いた宝の木箱を捜しに、今度はマタンドーニ侯国へと赴く。そこではデーモンが傷を負いながらも宝の木箱を手に入れてくれ、みんなで王の待つマンダ島へと帰路を急ぐ。
無事に<ルプパ>を手に入れてもどってきたカジムたちに二人の兄は驚くが、カジムはまたもやだまされて井戸に落とされ、<ルプパ>も宝の木箱も二人に取られてしまう。そこにカジムの危機を察したデーモンが駆けつけ助け上げられる。この感謝をどのように表せばよいのかと尋ねるカジムに、デーモンは、カジムの故郷マンダ島の「生命の赤いりんご」を思い出に欲しいという。
戻ったカジムを見て、全てを理解した王は、兄たちを追放し、カジムとバディアトの婚礼を明日とり行うと宣言する。しかしカジムは『デーモンに「生命の赤いりんご」を届けるから婚礼は待ってほしい、すぐに戻るから』と言いおき、父と恋人を残して旅立っていく。
現代音楽を意欲的に取り上げている東京交響楽団の演奏でしかも、お友達のソプラノぴかまま
さんが王女バディアト役で配役されておられるので楽しみに出かけたのでした。
私って大概、舞台って一人で観に行くのですが今回はぴかままさんのブログ仲間(ぴかままファミリー)と一緒だったのです。
その時のオフ会に関しては別記事で・・・
現代音楽ってなかなか耳に慣れなくて~とっつきにくいっていうイメージは一般的にはあると思うのですが、聞いているうちに慣れてくるんですよね~不思議と音楽と一緒に楽しめるようになるんです。
かのピエール・ブーレーズが「オペラはベルク『ルル』で完成された
」と言ったといいますが、確かにそれ以降歴史に残るような大きなオペラが作曲されたかというのは謎です・・・。
12音技法を駆使し、さらに映写で舞台展開をしてみせるという技法を用いた「ルル」は音楽的にも技術的にもその当時の最先端をいくものであったのは間違いないし、奇を衒うような作品こそあってもなかなかこれを越えるような作品は出てこなかったのでは?というのももしかした否めないのかも知れません。
現在80歳を超えて作曲家ヘンツェは制作意欲まんまんでさらに「ルプパ」の他にオペラを作曲したとぴかままさんからもお聞きしました。
実際聴いてみて「やっぱり現代音楽だ~!」と思いつつ、大変魅力的な音楽に魅了されました。
ピアノ、チェレスタ、打楽器もオケの編成に入り、舞台上方のスクリーンにはストーリーを暗示する映像が流れ、他にもTVに歌手の姿などが映写されます。
この演出もト書にあるのかしら???
演出の飯塚励生氏はオペラ「曽根崎心中」で近松ものをあでやかに見せた手腕、サントリーホールオペラ「ラ・ボエーム」には感服しましたが、サイトウキネンオーケストラ「グレの歌」はいただけなかった。
「グレの歌」だからオケは大編成なんだけれど、これが客席まで出てしまいオケの音は妙に生っぽく聴こえたし(※まあこれは音楽監督の小澤さんの責任でもあるんだけれど)オケのずっと奥に「お立ち台」があって順番の回ってきた歌手がそこで歌うという演出でした。
当然、ワーグナー歌手なんかがキャスティングされているんだけれど、彼らの声ですらかき消されてしまうの~ありゃ、もっと音楽を知っている人が演出しないとーー
まあ一緒に行った「ぴかままファミリー」勢では「どこ見ればいいかわからない!」と必ずしも好評では無かったですが・・・
歌手は外国人勢のほとんどがリヨンの「ルプパ」の公演でそれぞれの役がらをすでに歌っているだけあって、実によく歌いこなしている感じが伝わってきました。
特にアル・カジムのラウリ・ヴァーサルの演唱とデーモンのトーマス・マイケル・アレンの演技には大拍手
二人のバカ兄もナイスパフォーマンス
日本人勢もベルリンからこの演奏の為に招聘されたぴかままさんのバディアトが出色の出来
この音楽を歌いこなされるソプラノは日本人でも彼女だだ一人でしょう。
さすが現代音楽の第一人者です。
今回は演技もついたので純真な10代の恋する王女を見れて嬉しかったです。
それにディジャブ役の小野和彦さんのバスも大変美しかったです。
ぴかままファミリーのおは♪ちゃんから鋭いつっこみが・・・
カジムが「長いデーモンの髪の毛を切ってやる」って言っているのに、デーモン役の彼はスキンヘッドなんですもの~。
「演奏会形式だから~」って私なぞはスルーしちゃうところに突っ込みをいれちゃうところは確かに的を得ている。
ぴかままさんによると「サムソンとデリラ」のサムソンのように本来デーモンは髪が長いそうです。
天使のように親切なデーモンというのがちょっと怪しい気はしていたのですよー。
あのカジムが最後に「すぐ戻るから」とりんごを届けに出かけて幕ということは・・・
新潟なんかに住んでいるとそうそう現代音楽を生で聴く機会は無いので、今回は十二分に楽しみました~。
最後にぴかままさんお疲れ様でしたー