ふと時計の針を覗いたら、午前4時を回っていました。
「さあ、これではいけない」と思い、夜勤中の主人に電話をかけて助けを求めました。
しかし、こんなことくらいで途中で仕事を抜け出せるわけもなく、主人は私達のことは心配だけど、自分が戻るまで頑張るよう励まされ、その時は電話を切りました。
それにしても、彼等は一体何時になったらいなくなるんだろう...。
怖さと戦いながら、ベッドでスヤスヤ眠るヨシヨシの傍らに座り、私はただひたすら神様に、彼等が早くいなくなってくれるよう祈り続けました。
それから一時間後、さっきまでドタンバタンやってた外の音が、ピタッと止んだことに気がつきました。
あれほどうるさかったのが、まるで嘘のようです。
そう、彼等は漸く去って行ったのでした。
たった一夜の出来事でしたが、これがまたなんと長く感じられたことか...。
次の晩も夜勤だった主人は、この家に私とヨシヨシ二人を残すのが心配だということで、ホリデー先の妹さんに連絡を取り、彼女の留守宅にその夜泊まれるようにしてくれたのでした。
因みに、妹さんの家は、当時歩いて5,6分程の所にありました。
そして、その晩は妹さんの家にヨシヨシと二人、平和な夜を過ごすことが出来ました。
でもその夜、再びあのような騒ぎが繰り返されたかどうかは定かでありません。
さて、妹さんの家から帰って来た私達に気付いて、近寄って来た隣のママさんリーが、心配そうに話しかけてきました。
"Are you alright? It was too noisy that night."
"Yes, we are. We stayed at my husband's sister's house last night."
そんなような会話を交わし、私とヨシヨシは家の中へと入りました。
その朝、トレーシーとケイルブは外に出ておらず、顔を合わさずに済んだのでホッとしたのは事実です。
その後の数ヶ月間は、この騒動のおかげでトレーシーとリー家族は一時交流が途絶えたようです。
なにせ、相当ひどい騒ぎでしたから...。
また、スティーブとリーづてに聞いた話によると、この騒ぎを起こした輩の何人かは警察の御用になったとの事でした。
なんといっても、日頃からこの町が嫌いだと言っていた主人の気持ちが、この事を境に、非常に分かるようになったのは言うまでもありません。