あれは、確か高校二年の夏休みだったと思います。
その夜とても寝つきが悪く、何となくベッドの足元の窓から、誰かがこちらを伺っている気配を感じていました。
泥棒とか覗きのようなのではなく、霊的な気配をです。
それで、怖くて部屋の電気を消す事が出来ず、ベッドの中にもぐって早くその霊が去ってくれるよう、天の神様に祈っていました。
目には見えなかったのですが、はっきり察知できたのが、大きな男の人の顔が私の方を見ているという事でした。
もうあの時は、ほとんど朝方まで寝れず、空が明るくなりかけた頃に、ようやく眠る事が出来たのを覚えています。
そして、その日の午後、用があって自転車で近所を通ったところ、私の家からちょっと離れた斜め横の家に、黒い垂れ幕がかかっているのが見えたのです。
それを見た瞬間、私はとっさに思いました。あの家で亡くなった人が、昨夜ここら辺を浮遊してたんだ...と。
はっきりした証拠とかそんなのはありませんが、なぜか私の勘でそう思ったのでした。
とにかくあの黒い垂れ幕を見たときは、心底からぞっとしたのを今でも覚えています。