これは、私が学生時代に京都で暮らしていた時の話です。
あれは、確か3回生の秋頃の事だったと思います。
私は、河原町三条から山科にある自分のアパートへタクシーで帰る途中でした。
夕方の慌しいラッシュアワーの時間帯だったので、なかなか車は進まず、のろのろと五条大橋に差し掛かったときでした。
私は何気なく、チラッと左側の窓ガラスの外を見ました。
すると、そこに黒いスーツを着たサラリーマン風の男の人が、このラッシュアワーで忙しい自動車道の横のガードレールに向かって、立ちションをしているではありませんか。
私はそれを見て、「いくら車が渋滞でなかなか動かないからって、公然のド真中で立ちションしなくてもいいのに...。でも、きっと本当に我慢できなかったんだ」と思いながら、一度彼から目を離し下を向いてから、また外のほうに目をやった時でした。
そこで確かに立ちションをしていたはずの男の人がいないのです。
ほんの一瞬目を離した隙に、彼は立ち去ってしまったのでしょうか
でもです。彼が立ちションをしていた場所には、「死亡事故多発地帯」と大きく書かれてある看板が
置かれていたのでした。
果たしてあの男の人は、立ちションをしていて惜しくも事故に遭い、命を落としてしまったのでしょうか
今でも不思議でなりません。