「死刑廃止後、殺人件数が急激に増えた」という話の根拠となる資料がどうも怪しいな | 錆鼠熊のブログ

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自戒を込めて

http://www.moj.go.jp/content/000081718.pdf

上のはフランス(1981年廃止)のだが、人口十万人当たりの認知件数を見る限り、廃止する以前十年ほど増加傾向にあったものが廃止後はむしろ横這いになってるように見えるんだがなあ。これで、「廃止後に急激に増えた」というのは無理がないか?

カナダ(1965年廃止)では、廃止後十年ほどは確かに増加傾向にあるが、1975年辺りから横這いに転じてるようだが? 死刑を廃止したことで本当に増えるのなら、増え続けなければおかしいだろう? なのになぜ横這い(全体的にはやや減少傾向をみせつつ)になる?

そもそも、発生認知件数の数値の信憑性自体、二千年以降と千九百六十年代以前のそれとで本当に同等の信憑性があるのか?

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2776a.html

イタリア(1994年廃止)でも、廃止以前の三十年間ほど増加傾向にあったものが減少に転じたようにも見えるな。

イギリス(1969年イングランド等3地域で廃止、1998年完全廃止)は死刑廃止後殺人が増加したと言われてるらしいが、全体の流れから見れば精々横這いから微増って感じにしか見えんがね。イギリスは移民受け入れとかいろいろ治安にとって厳しい背景があるようだし。それで言えばむしろ頑張ってるのかも知れん。大英帝国時代に山ほど植民地を作ってたから逆に移民を受け入れないのはおかしい的な事情もあるようだ

さらにその数百年前に遡って考えてみると、先進国は確実に減少傾向にあるのが分かる、ずっと死刑を続けてきた年月と、死刑を廃止した年月を比べると、死刑廃止でいくらか増加傾向が見られた国でも、それ以前の数百年に比べれば雲泥の差だな

これは、文明が発展し生活が安定してきたこと、教育が普及し他者の命を奪うことが実は自分の利にならないという事実が知られてきたことも影響してるんじゃないかね

となるとやっぱり、死刑の有る無しと殺人の発生件数の間には有意な関連性は認められんってことだと思うんだがね。多少の増減は景気等の社会背景の影響の方が大きそうだ

「死刑を廃止したから殺人が増える」ってのを証明したいなら、元々その国に住んでる人間が事件を起こした数だけで論じるべきだと思うがね。他地域から入ってきたばかりの人間とか、他地域からテロを起こしに来た人間の事件じゃなくて。ましてやテロリストにとっちゃ、その国の法律がどうこうなんざ元から関係ないだろうし。そもそも自爆テロ犯は実行=実行犯の死だ。死刑なぞそれこそ関係ない

そもそも、日本で実際に、死刑の適用が理性的になって以降も減少傾向にあるのは何故だ? 積極的に死刑を行っていたであろう時期に比べて減ってるのは何故だ? 

人口比率だけじゃなく、実際の発生件数そのものも減ってるよなあ?

死刑が犯罪を抑止するのなら、なぜこんなことが起こる?

あと、「死刑は殺人じゃない」っていう理屈が通るのは、死刑囚を殺さなきゃいけない個人的な動機がない執行官が行うから「殺人じゃない」って建前が成立するんだよ。個人的に殺したいと思ってる奴が執行したらそれこそただの「殺人」だ

結局、実際に人を殺そうとかするような奴は、ヤケクソになってるんだよ。自分の命すら本当は大事に思ってないから他人の命を簡単に奪う

「死刑になるから殺さない」なんて考える余裕があるうちは、死刑にならなくたって他の理由で思いとどまるさ

実際には、それを考える余裕のない奴がヤバいんだからな

ああ、それと、被害者や遺族でもないのに「執行官になって死刑囚を殺したい」とか思ってる奴は、自分は殺されない責められることもない安全な立場で一方的に殺したいっていう、ただの卑怯者だ。追い詰められて殺す奴よりもっと性質が悪い