今回は、当院の根管治療に対するポリシーについて書きます。

 

歯科医師の中で、根管治療が好きな(得意な)人は、実はあまりいません。

 

理由は、

●治療が難しい

●時間がかかる

●労力に対して、経済的評価が極めて低い

などが主なところでしょう。

 

 

でも、私は根管治療がとても好きです。

地味な治療ですが、技術的にしっかりとした治療を行えば、患者さんの歯を抜歯することなく救うことができるところに、とても魅力とやりがいを感じます。

また、難しい治療が上手くいくととてつもなく達成感があります。

もちろん、患者さんにも喜んでいただける。こんな素敵な治療があるでしょうか?(笑)

 

私は、歯内療法学会(根管治療の学会)に所属していますが、この学会に所属している先生方をとても尊敬しています。このような地味で評価も低い治療に、熱意をもって真剣に取り組んでいこうとする姿勢に共感しているからです。

 

 

根管治療は、手を抜こうと思えば手を抜ける治療ですし、痛くないようにしようと思えば痛くなくもでき、短時間でしようと思えばそれもできる治療です。

反対に、しっかり治療しようと思うと、痛みが出たり、時間がかかる治療です。

しかしなfがら、手を抜いた治療は、必ず後で問題を起こしてきます。

 

 

よくある根管治療の例。歯根の中に白く写っているのが薬。歯根は3本あるが、どれもきちんと治療されていない。このような状態のものは、内部が隙間だらけでバクテリアが繁殖し、象牙細管を通って毒素が全身に拡散することが分かっている

 

 

被せ物を外し、歯根の長さと湾曲を確かめているところ。ファイルと呼ばれる治療用の細い器具が3本の歯根に入っているのが分かる

 

 

根管治療後。術前と比べ、歯根の先端まで隙間なく緊密に薬が詰まっているのが分かる。根管治療の良否は、患者さんが判断するのは極めて困難。治療後のレントゲンを見せてもらうと良い

 

 

 

歯科治療の怖いところは、不具合が治療後すぐには出ないところで、何年か経ってから痛んだり、歯茎が腫れたり、噛めなくなったりするところです。

また、虫歯や歯周病などの歯科感染症は、バクテリアやこれが産生する毒素が毛細血管委入って全身へと運ばれ、口腔とは離れた臓器や組織に異常や慢性疾患を引き起こすことも分かっています。

 

 

したがって、当院では、一度治療した歯が再び悪くならないように、また慢性疾患の原因とならないように、この根管治療にできうる限り最大限の努力を払い、最善を尽くしたいと考えています。

 

多少の時間や回数がかかることを、どうかご了承いただきたく思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。