虫歯治療後に、一時的に歯がしみることがあります。
例え自覚症状が無くても、虫歯が歯の神経の近くにまで達していることは少なくありません。
このような場合、虫歯を取り除き、詰め物や被せ物による治療を行います。
歯の神経近くまで虫歯を削るため、温度刺激が神経に達しやすく、しみる症状として現れます。
特に、金属での詰め物や被せ物を入れた場合には、しみる症状が強く現れることがあります。
一般的に、冷たいものがしみるだけの場合は、徐々に治まっていくので心配は要りません。
これは、外部からの温度刺激によって、歯の内部で修復象牙質が作られ、歯の神経が小さく退縮していくためです。
治療したのに歯がしみるとなると、患者さんはとても不安になると思います。
でも、冷たいものがしみる症状は問題ありません。
時間(期間)がかかっても、症状は治まります。
冷たいものがしみるからといって、安易に神経を取ってしまうと、将来歯が割れるリスクが相当高くなります。
仮に、歯根が割れれば、歯を抜くしか選択肢はありません。
しかし、歯の神経が生きていれば、歯根が割れることはほとんどありません。
一方、熱いものがしみる症状はあまりよくありません。
これは、不可逆性の歯髄炎を起こしている可能性があるためです。
熱いものがしみる症状が無くなった場合には、歯髄壊死(しずいえし:歯の神経が死んでしまうこと)が起こっていることも考えられます。
もし歯髄壊死になってしまったら、根管治療をするしか歯を助ける術はありません。
歯のしみる症状を抑えるのは簡単なことです。
歯の神経を取れば、歯は冷たいものにも熱いものにも、一切しみなくなるのです。
その代り、歯が折れやすくなるという重大なリスクに見舞われることとなります。
なぜ、そこまで歯髄(歯の神経)の保存にこだわるのか?
それは、虫歯や歯周病は予防できても、歯根破折は予防することが出来ないからです。
治療後に歯がしみても、むやみに神経を取ることは避けたいのはこのような理由によるためです。
ご理解いただければ幸いです。