近年のマスメディアでの報道を受け、歯科治療後のMRI撮影に関する質問が増えています。

歯科治療で歯に金属を入れているけど、MRI撮影を受けても大丈夫か?というものです。


MRI撮影において、口腔内の金属が問題とされるのは主に次の2つの事象です。

①金属によって、MRI 画像が乱れる
②MRI 撮影に伴い、磁場によって金属が引き寄せられたり、発熱を起こす


金属には、磁性があるものとないものに分けられます。

基本的に、MRI撮影において非磁性の金属は問題がありません。

通常、インレーやクラウン、そしてインプラントの材料としてよく使われるパラジウム合金や金、白金、チタンなどの金属は、非磁性金属なのでMRI撮影に関して何ら問題はありません。


では、歯科で使われる可能性がある磁性金属にはどういうものがあるかというと、
●磁性ステンレス
●ニッケル
●コバルトクロム
など


そして、実際に使われているのは、次のような装置です。
●入れ歯のクラスプ(バネ)
●金属床(自費の入れ歯)のフレーム
●矯正装置および矯正線
●磁性アタッチメント(入れ歯の維持装置)
●稀にクラウンやブリッジのフレーム
など


口腔内金属が画像診断に及ぼす影響は、実はMRI に比べてCTの方が大きいです。

磁性金属がMRIの撮影場所に近い場合には、アーチファクトと呼ばれる画像障害が起こります。

口腔周囲をMRI撮影する際には、口腔内に取り付けた磁性金属は障害となり、画像が判別できなくなります。

しかし、実際にMRIやCTの撮影が必要なケースは、そのほとんどが頭部の画像診断の際でしょう。

距離的にいって、上顎臼歯部に固定式の磁性金属をいれるようなことをしなければ、頭部のMRI撮影時には口腔内金属によるアーチファクトは起こりにくいと考えられます。



また、歯にしっかりと固定されている詰め物や被せ物は、吸引事故を起こしたりはしません。

さらに、コバルトクロムで作った特殊なブリッジを除いて、通常の被せ物や詰め物では発熱による火傷の心配もありません。

しかし、簡単に外せる入れ歯や磁性キーパーは、MRI撮影前に外しておくことが望ましいでしょう。


分からない点があれば、遠慮せずに担当医に相談しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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