虫歯は、歯の細菌感染によって起こります。

その中でも、ストレプトコッカス・ミュータンスという細菌が最大の原因菌です。

このミュータンス菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には存在しません。

実は、ミュータンス菌の感染経路は、赤ちゃんの母親や父親、そして祖父母などであると考えられています。


お母さんが虫歯であると、子供も虫歯になりやすいのは、理解に難しくはありません。

お母さんの口の中のミュータンス菌が、食事の際に口移ししたり、箸や食器の共用、ペットボトルの回し飲みなどによって、子供へと垂直感染(母子感染)するのです。

しかも、この感染は、乳歯が生えて離乳し始める生後6か月頃より始まり、生後19か月(1歳7か月)~31か月(2歳7か月)の1年間が最も感染しやすい時期といわれています。

この時期までに感染しなければ、その後は虫歯になり難くなることが示唆されているのです。

虫歯菌の感染の時期が早い(低年齢)ほど、その後虫歯になりやすい傾向にあり、2歳前に感染した子供は、2歳以降に感染した子供よりも、虫歯が多い傾向があります。


したがって、これから妊娠をお考えの方、出産を控えているか方は、生まれてくるお子さんの健やかな成長発育のためにも、ご自身の歯の治療や予防が大事になってきます。

現在虫歯がなくても、虫歯の既往がある方は、PMTC(歯のクリーニング)や3DS(ドラッグ・デリバリー・システム)などによるバイオフィルムの除去は、虫歯菌の母子感染の予防に効果があります。


そして、ここで注意しなくてはいけないのは、祖父母の存在です。

祖父母は、孫可愛さゆえに、子供が喜ぶ甘いお菓子をたくさん与えたり、食器や箸の共用などはあまり気にかけません。

決して悪気はないのでしょうが、義理の両親ともなると気を遣い、なかなか注意もしにくいですよね。

でも、このような事実をご両親にも知っていただいたほうが、お子さんのためになります。

疾病予防は、家族全員の理解と協力が必要不可欠なのです。


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