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今回は、体位と噛み合わせについて書きます。
通常、歯の治療をする場合、患者さんは仰向けに寝かされた横臥位(おうがい)にされることが多いと思います。
これは、歯科医師が診療しやすいという理由で横臥位にしています。
ところで、顎は上顎と下顎に分けられますが、上顎は頭蓋に直接結合しており、下顎は顎関節を介して頭蓋とつながっています。
したがって、顎の運度は下顎だけがしていることになります。
下顎の位置は、姿勢の影響を強く受けます。
下顎をリラックスした位置で下を向くと、上下の前歯が強く当たります。
また、同様に上を向くと、下顎は後方へと下がります。
さらに、下顎は重力の影響も受けます。
これにより、座位(座った体位)と横臥位(仰向け)では、噛み合わせが微妙に異なります。
患者さんが、噛み合わせをより自覚しやすいのは、横臥位よりも座位です。
これは、一日の中で座位または立位での活動時間が長いからに他なりません。
したがって、本来、噛み合わせの調整や診査は、基本的には座位で行うべきです。
1~2歯程度の少数歯の治療では、噛み合わせの大幅な変化は起こりにくいので、横臥位でもそれほど問題はありません。
しかし、奥歯を含むブリッジや多数歯の治療の際には、患者さんの体位に特に気を付けなければなりません。
このような場合には、横臥位と座位の両方での噛み合わせの診査が必要です。
患者さんによっては、噛みにくい、奥歯が低い、噛めないなどの問題を生じることがあります。
横臥位で噛み合わせが分かりにくい場合には、チェアを起こして噛み合わせをチェックしたい旨を歯科医師に伝えるとよいでしょう。