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今回は、歯科用セメントの取り残しについて書きます。
インプラントの上部構造(クラウン)を装着するには、セメントによる固定とスクリュー固定(ネジ留め)の2種類があります。
セメント固定には、仮着(仮付)と本着(本付)分けられます。
仮着は、インプラント上部構造の取り外しを前提としており、本付は取り外しの出来ない永久固定を意味しています。
天然歯(自分の歯)と歯肉の付着(接合)に比べ、インプラントと歯肉との付着は極めて脆弱です。
このため、インプラント上部構造をセメント固定すると、余剰なセメントがインプラントと歯肉の間に入り込んでしまうことが知られています。
この余剰セメントは、必ず取り除かなければなりません。
万が一余剰セメントの取り残しがあると、インプラント周囲炎の原因となり、インプラント周囲骨が溶けてインプラントがダメになります。
その点、スクリュー固定はセメントを使用しないので、インプラント周囲炎に罹患する可能性が減ります。
それでも、あえてセメント固定するには、主に2つの理由があります。
一つは、審美的な問題、もう一つは噛み合わせの問題です。
これは、スクリュー固定では解決できない問題なのです。
いずれにしても、余剰セメントが原因のインプラント周囲炎は、患者さんがいかにきちんとブラッシングをしても予防できないので、取り残しが無いように取り除くことが重要といえるでしょう。