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今回は、歯科生体材料の選択と信仰について書きます。

歯科治療では、虫歯治療や抜歯、歯周病治療、インプラント治療及び骨造成などの外科手術ならびに再生療法において、生体材料(バイオマテリアル)が頻繁に使用されます。

生体材料には、
●金属
●セラミック
●合成高分子
●生体由来材料
などに分けられます。

金属やセラミック、合成高分子などは、いずれも非生物由来の人工物です。

これに対し、生体由来材料は、動物の心臓や血管壁、骨組織、腱などを精製処理して抗原性を除去したもので、医療用材料として用いられています。

歯科でも、止血剤や人工骨(他家骨や異種骨)、縫合糸、GBR用メンブレン(遮蔽膜)、歯周組織再生誘導材料(エムドゲイン)などとして使用されています。

これらの中でよく使われるのは、牛や豚の臓器及び組織、細胞成分由来の成分で、非常に良好な臨床成果を納めています。

具体的には、牛や豚由来のtypeⅠアテロコラーゲン、幼弱ブタの歯胚由来の蛋白質分画(エナメルマトリックスデリバティブ)、牛の骨由来の人工骨などがあります。


多くの日本人は、一般的にみて信仰による戒律はそれほど厳密ではなく、牛、豚、鳥、羊など、個人の好みはあってもあまり気にすることなく食します。

一方、厳格な仏教やキリスト教、ユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教など、多くの宗教では特定の獣肉を食べることに厳しい戒律が存在しています。

同様の理由により、生体材料の利用に関して患者さんのご要望がおありかもしれません。

通常、我が国の厚労省の認可を受けている生体材料に使用に関しては、医療現場での適正使用において、そのひとつひとつについて患者さんの同意を得ることは現実的ではありません。

もし、信仰上の理由等により使用を控えたい生体材料がありましたら、あらかじめ初診の際にお申し出いただきたく思います。


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