当ブログをご訪問いただき、ありがとうございます。
今回は、根管充填(こんかんじゅうてん)における加圧方法の違いについて書きます。
根管治療(歯の神経の治療)において、根管の中に最終的な薬を詰める処置を、根管充填と呼びます。
根管充填は、ガッタパーチャと呼ばれる樹脂(薬)を、加圧しながら根管の中に詰め込みます。
神経を取り除いた根管は、直接身体の内部と通じているものの、空洞(死腔)を残してしまうとそこはバクテリアの住処となってしまいます。
この空洞(死腔)は血流が一切なく、免疫が働かないために、内部で嫌気性菌が繁殖して毒素を産生し、根尖病巣や病巣感染の原因となります。
したがって、根管治療の工程において、治療の成否を最終的に決定づけるのは、過不足の無い緊密でクリーンな根管充填といえます。
根管充填の際の加圧方法には、複数の細いガッタパーチャを次々と詰め込んでいく側方加圧充填と、熱で軟化したガッタパーチャを垂直的に加圧して詰め込んでいく垂直加圧充填があります。
我が国で行われているポピュラーな根管充填は、側方加圧充填かと思われます。
この側方加圧充填は、あらかじめ詰める薬(ガッタパーチャ)の長さを決められるので、極端な過不足を生じにくい利点があります。
しかし、内部に空洞を生じやすい欠点があります。
一方、より緊密に隙間なく薬(ガッタパーチャ)を詰められるのは、垂直加圧充填です。
薬の熱可塑性を利用して詰めるため、内部に空洞(死腔)を生じにくい利点があります。
しかし、垂直加圧充填は、加圧の程度を調節するのが非常に難しく、また適応症を選ぶ必要もあり、かなりの経験を積まなければうまくいきません。
したがって、側方加圧と垂直加圧の両方を使い分け出来る技量を持ち合わせていることが、最も望ましいといえます。
そうすれば、全てのケースに対応することが可能となるでしょう。