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今回は、根管治療(こんかんちりょう)の予後と治療回数について書きます。
根管治療は、歯の神経の治療ですが、通常1~3回程度で治療は完了します。
痛みや腫れが酷い場合には、さらに数回の治療を行うことはあります。
しかしながら、時々、かなり長期に渡り根管治療を受け続けている患者さんがお見えになります。
根管治療は、根管内(歯根の中にある神経の管)のバクテリアや腐敗物質、感染歯質などをきれいに取り除き、隙間なく薬を詰めることで、バクテリアの繁殖の場を無くし、根管を通して体内へのバクテリアの侵入や感染を防ぐことが、治療の最終目的となります。
根管治療をしても痛みがなかなか良くならない原因は、大きくは2つあります。
一つは、治療毎に根管内に唾液およびバクテリアが入り、根管内が完全にきれいになっていないことが挙げられます。
基本的に、唾液そのものは無菌ですが、口腔内に出るとバクテリアを含むようになります。
したがって、根管治療の際には、根管内に唾液を入れてはいけません。
また、根管治療の最中は、仮封(かふう;仮のふた)をしておきますが、この仮封がしっかりと緊密に出来ていないと、根管の中に容易にバクテリアが侵入してしまうのです。
これら、根管内のバクテリアおよび汚れが、根管治療が長引く最大の原因です。
そして、もう一つの原因は、オーバー・インスツルメンテーション(over instrumentation)と呼ばれるものです。
インスツルメンテーションとは、器具操作のことを意味しています。
根管治療の際には、ファイルと呼ばれる非常に細い器具を使用しますが、これを不用意に扱うと、根尖(こんせん;歯根の先端)を破壊し、持続的な強い痛みを生じます。
根管治療は、歯科治療の中でかなり頻度が高い基本治療であるにも関わらず、非常に繊細な治療であるため、乱雑な治療を行なったりすると、このオーバー・インスツルメンテーションを起こす危険があります。
また、誤った消毒薬の使用(適用、容量など)も、痛みを長期化させる可能性が高いと言えます。
根管治療を何回も行っているにも関わらず、なかなな良くならない場合には、早めに経験豊富な歯科医院へ転医した方が得策であると思われます。
根管治療の予後不良は、即ち抜歯を意味し、経過が長いほど治癒の見込みは低くなります。
お受けになっている治療の経過が芳しくない場合には、ほかの扉をたたく勇気と決断が必要だと思います。