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今回は、根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)について書きます。
歯根は、歯の種類によって形態が異なります。
一般的に、前歯部では歯根が1本の単根で、大臼歯部(奥歯)では歯根は2~3本の複根になります。
前歯は咬合力が小さいのに対して、大臼歯は強い咬合力がかかるため、大臼歯の歯根は複雑な形態になっています。
歯周病に罹患すると、この歯根を支える歯槽骨が溶けます。
歯周病の治療の難易度は、歯根の形態によって決異なります。
単根である前歯は、歯周病の治療が比較的容易です。
しかし、大臼歯のように、歯根が複根で複雑な形態の歯は、歯周病治療が困難です。
大臼歯の歯根は、2~3本に分岐(ぶんき;分かれていること)しており、この根分岐部にまで進行した歯周病は、清掃性が悪く、予後が極めて悪いといえます。
通常、健康な状態では、この根分岐部は骨で完全に満たされています。
初期の分岐部病変は、比較的デブライドメント(機械的清掃)がしやすいので、GTR法やエムドゲインを応用した再生療法で、ある程度歯槽骨を再生させることが可能です。
しかし、この分岐部の骨がトンネル状に貫通してしまうと、歯ブラシや治療器具が届かず、歯周病が徐々に悪化していきます。
大臼歯が重度の歯周病になると、歯周ポケットが深くなり、分岐部の清掃性の悪化と、治療難易度が増すため、予後は極めて不良です。
したがって、日頃の的確なブラッシングと、定期的なPMTC(歯のプロフェッショナル・クリーニング)をきちんと受け、分岐部病変にならないように予防を講じていくことが賢明なのです。