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今回は、歯科材料の寿命について書きます。
歯が虫歯になると、当たり前のように、虫歯を削って詰めたり被せたりします。
この時に使われる材質は、金属やレジン(プラスチック)、セラミックなどです。
特に、金属を使った治療の歴史は古く、世界的にもかなりの実績があります。
現在ではほぼ使われなくなったアマルガム(水銀化合物)は、きちんと治療を行えば、実は臨床的な予後は極めて良好です。
セメントや接着剤を介さずに、歯に直接詰めるアマルガムは、硬化するときにわずかに膨張します。
これにより、歯と金属の境目には隙間が出来ず、バクテリアが内部へ侵入するのを防ぎます。
(現在主だって使用されている材料は、そのほとんどが収縮します)
したがって、きちんと治療してあるアマルガム充填(じゅうてん;詰めること)は、20年、30年持つことも稀ではありません。
また、インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)による治療も、古くから金属を主体に治療が行なわれてきました。
これらの治療も、きちんと施術されたものであれば、30年、40年持っているものもあります。
このような長期症例をみると、決して従来型の材料が必ずしも悪いとは言えません。
逆に、近年よく使われるレジン(プラスチック)やセラミックは、その材質の向上が目覚ましくはあるものの、必ずしも万能ではありません。
材質の継時的劣化や摩耗、破折など、絶対的強度の点で金属には劣ります。
したがって、長期的に安定し、審美的要件を満足させつつお使いになっていただくためには、材料は適材適所で用いることが重要です。
歯科治療は、毎日が再治療の連続です。
どんな材料を使おうとも、中に虫歯を残して治療を済ませれば、近い将来、必ず再治療が必要になります。
根管治療をしっかり行わずに歯を被せれば、歯の中から腐敗して膿をもつようになります。
そして、このような治療が非常に多いのが、我が国の歯科治療の現実なのです。
材料選び以上に、歯医者選びのほうが、より重要だということでしょう。
良い先生をかかりつけに持つことは、みなさんの大きな財産になるに違いありません。