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先日、ある患者さんと、今までの症状や治療の経緯についてお話をしていました。

その患者さんは、5年以上も前から神経を取った歯が痛むということを主訴に来院しました。

通常、根管治療をして歯の神経を取ると、歯そのものは痛みを感じなくなります。

しかしながら、歯は歯槽骨の中に植わっており、歯根膜(しこんまく;歯根と歯槽骨をつなぐ繊維)や歯肉に接しているので、歯の神経が無くても歯を取り巻く組織には感覚があり、歯を押したり叩いたりすると痛みを感じます。

歯の痛みを訴えているとき、レントゲンにて診査をすることがほとんどですが、必ずしもレントゲンで異常が発見されるわけではありません。

原因がはっきりとしない難治性の痛みを抱えているケースの大半は、レントゲン上では問題がない場合が多いのです。


問題は、痛いと言っているにも関わらず、痛み、そして患者さんの心を理解しようとしない医師です。

患者さんが痛いと言っている場合、診査をしても問題がないように思えることはいくらでもあります。

しかし、痛みを訴えている場合、必ず、どこかに問題があるはずなのです。

痛みという結果には、必ず痛みの原因があると考えるのが普通でしょう。

それを、「気のせい」とか、「痛いはずがない」などと言われては、患者さんはそれ以上何も訴えることが出来ませんし、いったい誰を頼ったら良いのでしょうか?

このような患者さんは、家族からも理解されずに悩んでいることも多いのです。


科学では、分からないことがたくさんあります。いや、むしろ分からないことの方が多いのです。

それでも、患者さんの心に寄り添い、わずかでも癒すことは出来るはずです。

歯科医療が、少しでも患者さんの支えになること、力になること、これが私たちの責任だと思うのです。


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