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今回は、難治性の歯痛について書きます。
歯痛には、主に次のような原因があります。
●虫歯や歯周病による歯髄炎(歯の神経の炎症)
●歯周病の急性化(智歯周囲炎を含む)
●咬合性外傷(噛み合わせの不良)
●根尖性歯周炎(根の先の炎症や嚢胞、肉芽腫)
●歯牙破折や歯冠のクラック
●歯根破折やクラック
●腫瘍など
これらの病状による痛みは、通常、当該の歯の治療や抜歯を行うことで無くなります。
痛みの原因を調べるために、視診、触診、打診、温熱診、電気診、レントゲン診査など、様々な審査を行いますが、ほとんどの歯の痛みは、その原因を特定することが可能です。
しかし、中には何十回、何年も治療をしているのに痛みや違和感が無くならないという患者さんがいます。
もちろん、上記のような診査をしても、痛みとの因果関係がはっきりしないのです。
特に、失活歯(しっかつし;神経を取った歯)における原因不明の痛みを訴えるケースが多くみられます。
5年、10年などの長期に渡り、痛みや違和感があると訴える患者さんのほとんどは女性で、男性では経験がありません。
しかも、臨床的には更年期以降の女性に圧倒的に多い傾向があります。
これがホルモンバランスによるものか、社会的・環境的要因によるものなのか、脳の性差によるものなのかは定かではありません。
痛みのトリガー(引き金)が歯の治療であって、痛みの本態は脳の中で起こっているのかもしれません。
他にも、鬱やパニック障害、摂食障害、解離性障害など、発症にあきらかな性差があり、女性に多くみられる心の病はたくさんあります。
また、交感神経系の影響によるカウザルギーやアロディニアなどの感覚異常が、原因不明の痛みとなっている可能性も考えられます。
このような難治性の歯痛は、痛みが他の歯に移動したり、抜歯をしても痛みが無くならない場合もあったりするので、治療が極めて困難です。
このような痛みは、三環系抗うつ薬が奏功する場合や、神経ブロックで寛解する場合もあるようです。
なかなか治らない歯の痛みは、早めにしかるべき医療機関を受診されることをお勧めいたします。
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