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今回は、歯列不正と顎のずれについて書きます。
歯列不正があると、顎のずれが起こりやすくなります。
多くの場合、歯が萌出(ほうしゅつ)する際、上下の歯と歯が正常に噛み合わないことで歯列不正が起こります。
歯がしっかりと噛み合わないと、食べ物が噛めないため、噛み合わせをずらしてを噛む習慣がついていきます。
これが顎のずれる引き金となります。
通常、食べ物を噛む際は、無意識のうちに顎を動かしています。今度は右、次は左でなどと考えることはまずありません。
例え歯並びが悪くて噛み合わせに不具合があっても、無意識に顎をずらして噛むことが習慣化しているため、当の本人は顎のずれにあまり気が付きません。
しかし、この顎のずれによって、筋肉の過緊張や脊柱の歪み、首や肩のコリ、頭痛などが起こることがあります。
しかも、顎のずれは3次元的に起こります。
左右へのずれは、顔貌の左右の対称性や歯の正中(上下の真ん中)のずれを評価することで、比較的容易に判断が付きます。
これに顎の前後のずれ、噛み合わせの高さのずれ(開咬および過蓋咬合)の要素が加わります。
過蓋咬合は、噛み合わせの高さ不足によるものが多く、同時に下顎が後方へずれを起こしている傾向にあります。
下顎の後方へのずれは、顎関節症(開口時の顎の痛みや音、開口障害など)を引き起こすとともに、首や肩のコリ、睡眠時無呼吸症なども引き起こす可能性があります。
ブラケット装着時。見た目はそれほど悪くはないが、顎のずれに起因する正中のずれがある(点線)。噛み合わせも深く、下顎前歯はほとんど見えない
1カ月後。レベリングが進んできているが、依然として噛み合わせは深い。過蓋咬合のため、下顎前歯が上顎前歯および歯肉に当たり、下顎が後方にもずれている
11カ月後。噛み合わせは浅くなり、下顎に装着したブラケットが見えてきている。正中のずれも、改善が見られる。
歯列矯正の真の目的は、あくまで正常な成長の育成および機能回復です。
歯並びの審美的改善は、歯列矯正によって結果的に起こります。
審美的改善だけが歯列矯正の目的になると、噛み合わせに不具合が残った仕上がりになりかねません。
噛み合わせの不具合は、私たちの身体のバランスを著しく損なう可能性があります。
より健康で美しくなる、これが歯列矯正を行う上でとても重要なことなのです。