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今回は、最も審美性の求められる前歯部のインプラントについて書きます。

上顎前歯部は、最もインプラント治療の難しい部位です。

理由は
●高い審美性が要求される
●インプラントを埋入するのに骨が不足している
●歯肉の厚みが薄く、インプラント・アバットメント(土台)が透けて見えやすい(ディスカラーレーションという)
●歯間乳頭(歯と歯の間の歯肉)の再生が困難

特に、前歯部で多数歯にわたる歯の欠損をきたしている場合には、難易度が高くなります。


前歯部でインプラント治療を審美的に行おうとする場合、骨と歯肉の再生療法や移植は欠かせない手技となっており、高い診断力と技術力が必要になります。

また、マテリアル(材料)の選択も非常に重要で、セラミックスによる歯冠回復が必要になります。

従来型のチタンや金合金などのメタル・アバットメントは、歯肉の薄い日本人では、歯肉の上から金属色が透けてしまい、歯肉の色が暗く見えてしまう欠点があります。

これをディスカラーレーションと呼んでいます。


 
治療前。歯根破折により、抜歯が必要と診断された上顎前歯(矢印)。インプラント治療を行うこととなった。



 
 術後。インプラントを埋入し、セラミッククラウンによる補綴処置を行なった。
インプラント・アバットメント(土台)がメタルのため、アバットメントの色が透けて見え、歯肉の色が暗い。これを避けるには、ジルコニア・アバットメントが最適。
 


ディスカラーレーションを避け、審美的な補綴(被せもの)をご希望の場合には、白い金属と呼ばれるジルコニア・アバットメントが最適です。

ジルコニアは白いため、歯肉が暗くならず、高い審美性が得られます。

また、歯肉も経年的に下がる(痩せる)傾向にあるため、これを見越してもジルコニアが有利です。

ただし、強度的にはやはり弾性のあるメタルのほうが上回っていますので、咬合力の強い方、ブラキサー(歯ぎしりや食い縛りなどの習癖のある方)、ディープバイト(過蓋咬合;前歯の噛み合わせが深い方)等は、メタル・アバットメントのほうが有利でしょう。

前歯部のインプラントは非常に難しい治療ですので、経験豊富な歯科医師にご依頼されることをお勧めいたします。



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