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今回は、医療の特異性と医療紛争について書きます。
医療は極めて高い専門性を有しており、一般の方にはブラックボックスのように映るのではないかと思います。
医療契約(診療契約)は、患者さんが医療機関を訪れ、カルテを作成した時点で契約が成立したものと解釈されています。
医療行為は、基本的に民法第656条の準委任契約に該当します。
委任とは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずるものを指します(民法第643条 委任)。
そして準委任は、法律行為でない事務の委託について準用するものと規定されています(民法第656条 準委任)。
つまり、医療契約は民法上、準委任契約であり、患者さんは医師に医療行為を委託しますが、医師には、必ずしもその仕事の完成(病状の改善や病気の治癒)の約束が求められません。
そうでなければ、尊い命を預かることができないからです。
これに対して、仕事の完成・結果を約束させる契約を、請負契約と言います。
準委任契約に際し、受任者(医師)は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います(民法644条 受任者の注意義務)。
これを一般に善管注意義務と呼んでいます。
この善管注意義務の具体的な内容については、法律では定義づけられてはいませんが、医学的に考えると、つぎのようなことが該当すると考えられます。(もっとあるかもしれませんが・・・)
●医療行為の妥当性(診査・診断・治療法)
●当該医療行為を行う環境の整備
●医療行為の説明
●医療行為におけるリスクや副作用についての説明
●代替医療についての説明
●治療を受けない場合のデメリットについて
●療養上、必要な指導を行うこと
●他科への紹介や、転医についてのアドバイス
など
要約してしまうと、現在の医療レベルから見て、当該医療行為の妥当性と十分な説明がなされたかどうかということが重要です。
治療がうまくいっている時には決して問題にはならないことも、治療の予後が思わしくない時には、医療紛争に発展することがあります。
医療行為は、決して100%成功することを保障するものではありませんが、結果が思わしくない時には、医師の誠意ある対応・言葉が大切であることは言うまでもありません。
それによって、患者さんの苦痛が少しでも癒されることもあるからです。
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