今回は、根尖病巣が原因の歯茎の腫れについて書きます。

根尖病巣(根っこの先端の炎症)は、根管の中のバクテリアや腐敗物質が原因で生じます。
根尖病巣のほとんどは、適切な根管治療を行うことによって治癒します。

ホルマリン系やフェノール系、ヨウ素系の根管消毒薬は、消毒作用が強く、従来からよく使われてきました。しかし、化学物質過敏症やアレルギーなどの敏感な患者さんでは、このような薬剤が使えない方が多く、代わりに使いやすいのが水酸カルシウム製剤です。殺菌作用は強くありませんが、刺激もあまりありません。

通常、根管治療は、根管の中のバクテリアと腐敗物質を機械的に完全に取り除けば、消毒薬は必ずしも必要ではないと考えられています。

そして、例え消毒薬を使っても、虫歯の取り残しやバクテリア、腐敗物質の機械的な清掃が不十分であれば、何回消毒しても根尖病巣は治癒しない、あるいは再発する可能性が高いといえます。

 

 


  
           治療前          根管治療後


根尖病巣由来の歯茎の腫れは、根管の中の汚染されたもの全てを完全に取り除けば、多くは自然治癒力によって治癒に向かっていきます。

歯茎の腫れなどの感染症の顕在化は、宿主(ヒトの免疫力、耐性)と環境(水や空気、食事など)、病因(細菌やウイルスなど)などのバランスの乱れにより生じるものです。したがって、疲れたり体調が悪くなると、歯茎が腫れやすくなります。

歯茎が腫れたら、歯科医院に通いつつ、時にはゆっくりと休養することが必要かもしれません。

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