今回は、2次カリエス(虫歯)について書きます。

2次カリエスとは、治療済みの歯が、再び虫歯になることです。

基本的に、虫歯の治療は、虫歯の菌に感染した歯質を完全に除去することで、虫歯の再発を防ぎます。

しかし、私が日々の臨床で行っている虫歯治療は、他院で行った虫歯治療のやり直しが多いのが現状です。

虫歯治療で最も重要なのは、虫歯の取り残しを絶対にしないことです。虫歯を取り残すと、詰め物や被せ物の中で虫歯菌が繁殖し、歯を溶かし腐らせていきます。

そして、もう一つ重要なことは、詰め物や被せ物をぴったりと精密に歯に合わせることです。虫歯菌の大きさは、0.1~1μm(1000分の1mm)程度の大きさなので、詰め物や被せ物にわずかでも隙間があると、そこから虫歯菌が中に入り込んでしまいます。

一般的に、この2つの大原則を怠っていることが非常に多いのが、今の日本の虫歯治療の実情です。

 
       詰め物の縁に隙間がある

 
  詰め物を外したところ(内部で虫歯が進行している)

 
      虫歯をすべて取り除いたところ


虫歯に感染した歯質をあえて残して治療する3mix‐MP法や、ドッグスベストセメントを使った治療法も存在します。しかし、基本は虫歯菌に感染した歯質を完全に取り除くことです。これが、最も確実で、虫歯の再発を起こさない唯一の方法だと思います。

虫歯は、歯の最外側を覆うエナメル質と、その内部を構成する象牙質の境目(これをエナメル象牙境といいます)の部分で大きく広がる特徴があります。

これは、エナメル質が非常に硬いのに対して、象牙質がエナメル質よりも柔らかいために起こる現象です。そして、このエナメル象牙境の部分は、虫歯の取り残しの起こりやすい部分でもあります。

一見して虫歯が完全に取り除けているように見えても、齲蝕検知液(虫歯を染め出す薬)で染め出しを行うと、虫歯の取り残しを発見することが多々あります。このような時、ヒトの感覚というのは、ある意味いい加減だということを痛切に感じます。

やはり、治療というのは、基本に忠実で、一つ一つを最も確実な方法で行うことが大切だと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。