今回は、咬むことと知能の発達について書きます。

ラットに固形飼料を与えて育てた群と、粉末飼料を与えて育てた群に分け、食物硬度が脳の短期記憶に与える影響を調べた研究があります。

これは、それぞれの群のラットを、迷路箱を使って学習能力をみるという方法です。
普通の迷路箱で訓練をしたのち、条件回避箱という、床が金属の格子になっていて電流を流せる箱にラットを入れます。この条件回避箱には、電流が流れる合図であるブザーとランプが付けてあり、その他に電流を遮断できるレバーを付けておくというものです。

ちょっと可哀そうな実験ですが、電流を流されると、ラットは痛いので、電流が流れるのを回避するためレバーを下げるように学習をするのだそうです。その結果、はじめのうちは両群に差はありませんが、学習を積んでいくと、固形飼料で育ったラットのほうが、粉末飼料で育ったラットよりも、次第に条件回避の学習成績が良くなるという結果が得られたという報告があります。

学習を繰り返すことによって、固形飼料でよく噛んで育ったほうが、粉末飼料であまり噛まずに育つよりも、学習成績が高いことが示唆されています。このようなことは、もしかしたら、ヒトにも当てはまるのかも知れません。よく噛むことは、知能の発達にも影響を及ぼしていると考えられるのです。

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