今日は、歯並びが悪くなる原因について書きます。

 

 

 歯並びが悪くなる原因には、大きく分けると、遺伝的要因と環境要因の2つがあります。この2つの要因が相互的に作用して不正咬合が起こります。

 

 遺伝的な要因は生まれながらにして決まっており、これを変えることは出来ません。例えば、中世ヨーロッパの貴族の家系であるハプスブルグ家では、18世代にもわたって反対咬合(受け口)が出現しました。

 もっとも、ハプスブルク家は所領を増やすために血族結婚を繰り返したので、このような遺伝的形態を何世代にもわたって継承したと考えられています。

 日常臨床では、親子の口腔内を見る機会が多々ありますが、驚くほど歯並びや歯の形態が似ていることが少なくありません。つまり、歯並びにおける遺伝的な要因というのは影響が大きいのです。

 

 2つ目の環境要因には、先天的(生まれる前からある)なものと後天的(生まれた後におこる)なものがあります。 

 先天的な原因には、歯の数や形の異常、舌や骨格の異常などがあります。

後天的な原因には、全身疾患によって起こるものと、主に歯や顎骨に原因があるものおよび悪習癖(指しゃぶりや弄舌癖、異常嚥下癖など)によって起こるものがあります。

 

 以上は、かなり専門的な分類ですが、歯並びから不正咬合を見ると、顎の大きさと歯の大きさのミスマッチと、上下の歯並びのずれ(前後的、左右的、上下的)が、ほとんどの歯列不正の本態でしょう。

 

 また、 不正咬合の原因を考えるとき、食生活の影響がかなり大きいと思われます。次回は、食習慣が歯列不正に与える影響について書きます。