【新】舌について
前回、物理的に除去が難しい、白毛舌、黒毛舌について解説しました。
毛舌については、糸状乳頭、および舌表面の組織の過剰増殖によって引き起こされる良性疾患で、その結果、乳頭が長くなり、毛深い外観になります。
この状態に寄与する要因には、不適切な口腔衛生、柔らかい食事、細菌、食物、酵母、その他の物質による汚れが含まれます。
中でも真菌の感染が考えられます。
口臭、口の中の金属の味、見苦しく黒い毛深い舌などの症状を引き起こすことがあります。
通常タンスクレーパーや、舌清掃専門用具を使っても取り除くことが難しいのは、舌苔の最下層に真菌が粘膜に浸潤する感染が関与しているからと考えられています。
通常真菌感染を疑う場合は、舌粘膜のぬぐい液などを培養して真菌お検査を行いますが、深層で感染している場合は、正確に診断できない場合があるように思います。
殺菌剤を使用しても解決しない場合は、真菌感染を疑い、抗真菌薬の内服、及び軟膏の舌への塗布で、一時的に改善が見られた経験があります。
最近(黒)毛舌に対する臨床報告がありましたので紹介します。
(参考文献:Piyush Puri,et al:Black Tongue: A Rare Presentation of Rhupus Syndrome,Cureus. 2023;15(6): e40240.)
報告されたのは口臭と舌の黒さ(黒毛舌)を訴えて来院された 30 歳女性の症例です。(ラマ医科大学病院、ラマ、インド)
彼女は以前、プライマリケア医療センターで抗生物質を服用していましたが、改善はありませんでした。(真菌感染には抗生物質は奏功しません。)
治療前の舌の状態
その後、抗真菌薬であるフルコナゾールを次の 2 週間処方しました。2週間後、彼女は舌のかなり改善されてきました。
その後、全身性エリテマトーデス(SLE)および関節リウマチ(RA)などの基礎疾患治療が行われ、最終的には解決しました。
毛舌については、2週間程度の抗真菌剤の連続投与が有効です。
ほんだ歯科でも白毛舌に対して、抗真菌剤の粘膜塗布により、一時的に解決した経験があります。
その後、再発しましたが、抗真菌剤の塗布、ないしは場合により内服を2週間程度継続することと、背景にある原因(病的な場合)について治療することや、生理的な場合は機能改善のためのリハビリテーションや機能訓練等が必要と考えられます。
【歯科医師向jけ情報】
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(参照・引用;HOKUTO)
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