本日発刊された、日本口臭学会誌に、論文(症例報告)を発表しました。


タイトルは「口臭症に噛み締め呑気症候群を併発した一例」というもので、どのように診断し、治療し解決に至ったかの症例を報告したものです。

 

「口臭症と噛み締め呑気症候群」を併発したケース報告では世界でも初めての報告です。


●噛みしめ呑気症候群(Teeth Clenching Aerophagia Syndrome)とは、どのような病気なのか?

空気嚥下症(Aerophagia)とも呼ばれています。空気を大量に飲み込んでしまうことによって、げっぷやおならがたくさん出たり、腹部膨満感を覚えたりする症状のことです。

また胃の痛みや、胸の痛み、食欲不振、倦怠感などを訴えることがあります。

内科でも胃カメラやCTをとっても異常が認められず治療法もないことから、ドクターショッピングを繰り返す事が多いです。

原因の一つとして、ストレスが考えられますが、はっきりとした病因について不明とされていますが、口臭症の場合は、極度の不安の繰り返しによる口腔内ガスの嚥下と考えています。

●口臭症に併発する「噛み締め呑気症候群」

実は、口臭症(口臭について深刻に悩む病気)の患者さんが陥りやすい症状です。
口臭不安を抱えると、人前や社会生活環境で、極度の不安から、常に無口な状態が継続します。



この時、上下の歯を常に接触させ、近くに人がくると、不安から無意識に強く噛み込む(噛み締め)ようになり、舌表面(舌背部)が、全面的に口蓋部に密着します。

 

その時に、口腔内に溜まっていた空気を飲み込んでしまうのです。(固唾をのむと言う現象が、健康な人にもありますが、その病的なものと考えています。)

 

緊張に襲われると、その度に何回も空気を飲み、胃に大量の空気が送りこまれ、胃腸の膨満感と、不快が起こり、ゲップやおならがでやすくなり、ゲップした際に胃液や胃の内容物も口腔内に逆流し口腔内は酸性化し、不潔になります。その結果、緊張状態になると口臭が起こるようになります。
緊張が解除されると口臭も消失します。


多くのケースで、自律神経系を精査すると、交感神経系が病的に高いケースが多いです。
また、外界刺激に対する感受性が非常い高い場合もあります。

●治療

治療用の二酸化塩素製剤や、口腔内のpHを安定させる製剤を使用して対症療法的に不快症状や臭気を改善させ、バックグラウンドで、根本的治療として、無意識におこる上下の歯の接触を、セルフコントロールさせたり(認知行動療法)、場合により、接触できないようにマウスピースによる治療も行われます。


おならや、ゲップが出やすく、胃腸の不快症状があり、慢性化しているケースで、内科受診で「逆流性食道炎」や「過敏性大腸炎」を否定された場合は「噛み締め呑気症候群」の可能性があります。

その場合は、口腔外科、さらには、口臭も気になる場合は、もよりの EBACクリニックご相談ください。

また、おならが出やすく、おなら臭に悩まれる人も陥りやすく、口臭症と同じ原理で、おならも出やすくなります。

 

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