アトピー性皮膚炎の患者さんに心理教育的なアプローチをすると症状がよくなるか? | EBMHのブログ

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京都大学 大学院医学研究科 健康増進・行動学分野に関する研究紹介・EBM抄読会の記録など

Psychological and Educational Interventions for Atopic Dermatitis in Adults:

A Systematic Review and Meta-analysis. (2017) Behaviour Change, 34 (1), 48-65

成人アトピー性皮膚炎の患者に対する心理・教育的介入:システマティックレビューとメタアナリシス

Kayoko HASHIMOTO, Yusuke OGAWA, Nozomi TAKESHIMA, and Toshi A.

FURUKAWA

DOI: http://doi.org/10.1017.bec.2017.4

 

なにがわかったの?

 アトピー性皮膚炎では、ストレスでかゆみが強くなり症状が悪くなる傾向があり、また強いかゆみから睡眠が十分にとれず、集中力低下、イライラなどの日中の機能不全につながりQOLに影響します。今回、心理・教育的な介入研究(RCT)をメタ分析したところ、通常の治療と、通常治療に心理・教育介入を追加したグループ間で、皮膚の症状への効果には差が確認できませんでした。 

 

もっと詳しく・・・

18歳以上の軽度から中等度のアトピー性皮膚炎患者さんを対象にして、通常の皮膚科治療に心理的介入(認知行動療法、行動療法、力動的精神療法など)と教育的介入(疾患教育、スキンケア、入浴方法などの日常の生活指導)を追加した効果を通常治療と比べた12RCT研究の中から、2つの心理学的介入研究(リラクゼーション方法と認知行動療法)と1つの教育的介入研究の3つの研究を統合しました。結果は、

6か月までの発疹の重症度で2つのグループ間で、有意な差は認められませんでした。

いくつかの研究で、症状軽快に対する効果が報告されているので、今後は心理療法の種類や教育的介入の要素によっては、効果が確認できる可能性があると考えています。

 

 

臨床医へのメッセージ

アトピー性皮膚炎の患者さんのストレスへ配慮した対応は、症状軽快につながる可能性があります。これは、今後良くデザインされた研究が増えることで確認されるのではないかと考えています。

 

【掲載には著者の許可を頂いています】