"Our lives begin to end the day we become silent about things that matter." (「大切なことを主張できなくなった時、私たちの命は終わりに向かう」)
キング牧師の名言の一つ。
人種差別(アメリカの黒人差別)の問題定義をする意味で、大坂なおみが木曜日に行われるはずだったWestern & Southern Openの準決勝をボイコットした。その前の週末に、ウィスコンシン州でJacob Blakeという男性が警察の指示に従わず、警告も無視して助手席に乗り込もうとしたところ、至近距離で背後から7発も撃たれた事件が起きた。これを受けて、NBAのチームも次々とゲームをボイコット。結果的に全てのゲームが3日間延期された。メジャーリーグも同じようにゲームを中止した。
個人競技、ましてはテニスの公式戦(それも準決勝)をボイコットすることがどれほど大きな決断であったのか。私は黒人ではないけれど、黒人の夫に持つ一人として、ミックスの子供を持つ親として、また人として、大坂選手の行動に心から感謝しているし、彼女を尊敬せずにはいられない。
こちら↓はアスリートやトレーナーに人気のマッサージ機、Hypervolt (Hyperice社)のコマーシャル。大坂選手も登場している。
"A Commercial is not going to end racism, and a recovery tech company cannot erase centuries of oppression. But we do have a platform for the next few seconds and with it, we'll say this. Black rights are human rights and this movement is not a trend. The struggle doesn't stop when the media isn't covering it. If our humanity makes you unconfortable, get used to it. This is only the beginning.”
「一つのコマーシャルで人種差別を止めることは出来ないし、リカバリーテック(廃棄物処理)会社が、何世紀にも渡って積み上げられた(人権)抑圧を消し去ることもできない。でも私たちには次の数秒間(情報発信するための)プラットフォームがあるので、こう言いたい。黒人の人権は人間としての人権です。そして、この運動は流行ではありません。例えメディアがカバーしなくなっても、この苦悩が終わることはありません。もしあなたがこのヒューマニティに違和感を持っているとすれば、どうか慣れてください。これはほんの始まりに過ぎないのです。」
Jacob Blakeの事件から1週間が経ち、彼がいかに「撃ち殺されても仕方がない行動をとったか」という議論が続いている。同時に、Blake氏の事件を受けて起こった翌日のデモで3人を撃った(うち二人死亡)17歳の少年は正当防衛が認められるべきだという議論が巻き起こっている。
Blake氏が「撃たれて当然だった」という主張をまとめると:
- Blake氏には前科があり、事件の日も「招かれえざる客」が家族のBBQにやってきたという通報があった
- 警察の指示に従わず、逮捕されるのを拒否。警告も無視して歩き続けた
- ナイフを持っていた(または持っていたかもしれない)
- Rittenhouse少年は愛国心にあふれ、警察に強い憧れを持っていた
- 事件当日、彼は「暴動に巻き込まれるかもしれない店舗や人を守るため」、母親のライフルを持って、母親の運転する車でデモの現場に到着した(そもそも17歳でライフルを持って外を歩くこと自体違法)
- Rittenhouse少年はまず最初にゴミ袋を投げてきた男性に向けて発砲し殺害。その後「あいつが撃った」と追いかけてくる人たちに怯えてさらに発砲。一人を殺害し、一人に重傷を負わせた。(=「正当防衛」)
- 発砲後、首からライフルを下げて両手を上げて歩く少年を警察は完全にスルー。(射殺後に少年は家に帰り、逮捕されたのは翌日。)
- 警察の指示に従わなかったので撃ち殺されて当然のBlake氏 > 正当防衛という止むを得ない事情で3人をライフルで撃ったRittenhouse少年
- 前科がある=凶悪なBlake氏 > 2人を射殺したRittenhouse少年
- 「凶器を持っている可能性があったBlake氏 > 堂々とライフルを下げて歩いていたRitteenhouse氏