投票日2日後の11月5日、トランプがこうツイートした。

 

"STOP THE COUNT!" (集計をやめろ!。)

この人は何を言っているのか。

 

 

↓動画はデトロイトの集計会場に集まったトランプ支持者達が、"Stop the count!"と叫びながら抗議している様子。

 

選挙・選挙権は民主主義の根本にあるもの。「不正がある」と信じるのは勝手だが(少なくとも現時点では不正の疑いをトランプ側が持っているだけ。もちろん証拠が出てくる可能性もゼロではない)、どんな状況でも集計を止めろと言うのはあり得ない。

 

 

選挙権はアメリカの国民に平等に与えられた権利。一票の重さは、大企業の社長でも、収入のない19歳の学生でも同じ。

 

 

でも、全てのアメリカ人に選挙権が与えられるようになったのは、ほんの50年ほど前のこと。南北戦争後、1870年に成立した15th Amendment(アメリカ合衆国憲法修正第15条)によって、人種、肌の色、奴隷(出身)かによって選挙権を妨害されてはならないと法律で決まったが、その後も州によっては黒人の選挙権を与える条件として独自の(理不尽な)ルールを定めていた。例えばルイジアナ州では、黒人はLiteracy Test(読み書きテスト)をパスなければ選挙権を与えられないという決まりがあって、さらに1964まで使われていたテストは意図的に回答不能な内容になっていた。

 

 

【ルイジアナ州のテストの内容の一部】

 

1. Draw a line around the number or letter of this sentence.

この文の数字または文字のまわりに線を引きなさい

 

6. In the space below, draw three circles, one inside (engulfed by) the other.

以下のスペースに、丸(◯)を三つ、一つは他の内側に(囲まれている状態で)描きなさい

 

 

こんな感じの問題が30問。10分間で全て正解しないと黒人には選挙権が与えられなかったという。これが56年まで実際に使われていた。

 

 

今年7月に亡くなったジョン・ルイスはSelma to Montgomery marches「血の日曜日事件」の中心人物だった。たった25歳のルイスは500人以上のデモの中心となり、黒人の有権者登録が妨害されていることに抗議し行進していたが、警察がデモ隊に攻撃したことで、何十人もの抗議者が暴行を受けて怪我をし、ルイスは頭蓋骨骨折の重傷を負った。

 

血を流して手に入れた選挙権。何があっても全ての票を数えるべき。