7月1日、40歳のJonathan Irons(ジョナサン・ アイロンズ)は、23年間過ごした刑務所から初めて外に出た。

 

 

冤罪が晴れたのだ。

 

 

判決を覆すために第一線に立って戦ったのは、WNBA(女子NBA)でトップレベルの選手の一人、Maya Moore(マヤ・モア)だった。マヤは昨年2019年のシーズンを休んで、冤罪を訴え続けている人を助けることに専念するという発表をして、ファンを驚かせた。

 

マヤが去年9月に出したYoutubeのビデオと、その訳。

 

Hello everyone. My name is Maya Moore annd I'm here to ask you to join me in demanding a fair trial for Jonathan Irons who has been wrongfully incarcerated since 1997. Jonathan was arrested at the age of 16 for the nonfatal shooting of a homewoner during a burglary even though no DNA, no fingerprint, footprint, or any physical evidence ever linked to Jonathan to the crime. I've known Jonathan for over a decade and I'm fighting to make sure that his case gets a fair review and calling attention to the prosecutorial misconduct that I believe resulted in Jonathan being wrongfully sent to prison as a teenager for 50 years.

 

皆さんこんにちは。私はマヤ・モアと言います。1997から不当な理由で収監されているジョナサン・アイロンズが公正な裁判を受けられるために、みなさんの協力が必要です。ジョナサンは16歳の時に、押し込み強盗及び暴行(家主が銃で撃たれたが、命は助かった)の疑いで逮捕されましたが、DNAや指紋、足跡、その他全ての物的証拠は何もジョナサンと繋がりませんでした。私はジョナサンと10年以上の知り合いで、彼のケースが公平に調査されるため、また検察の不正行為へ関心を寄せてもらうために戦っています。検察の不正行為で10代のジョナサンに50年もの刑期が処されたのだと私は思っています。

 

I'm dedicating my life to freeing Jonathan the same way I dedicated my self to each game in the WNBA and it's why I need your help today. Will you stand with me and demand the new evidence be considered. I urge you to join me in asking judge Daniel Green a Missouri Assistant Attorney General Patrick Logan, and the Office of the District Attorney of St. Charles County to take into account the undeniable facts of Jonathan's case and finally provide him justice. Over 10,000 people may be wrongfully convicted of serious crimes each year. This is your chance to help free one of them. Please sign and share my petition.

 

私はWNBAの全試合に私の全ての力を注ぐのと同じように、ジョナサンを解放するために全ての力を注ぐことに決めました。そして、あなたの助けが必要です。どうか新たな証拠が検討されるよう、力を貸してください。Daniel Green裁判官と、ミズーリ州の副法務長官のPatrick Logan、それから郡の検察局に私と一緒に訴えて、ジョナサンのケースの事実を考慮してもらい、彼に正義をもたらすために助けてほしいのです。毎年1万人もの人達が不当に(重罪の)有罪判決を受けている可能性があるそうです。そして、あなたの力によって、その中の一人を助けられるかもしれません。どうか請願書に署名をお願いします。

 

 

====

ある日、白人男性の家に強盗が押し入り、ちょうど帰宅した家主を銃で撃った。事件後、警察は被害者に何人かの黒人男性の写真を見せて、この中で誰が犯人だったかを聞いた。被害者は誰が犯人だか分からないと答えたが、警察は推測で誰だと思うかと質問した。その時に被害者が選んだのがジョナサン・アイロンズだったのだ。

 

 

16歳のジョナサンは何も知らないし、そこに僕はいなかったと訴えたが受け入れられなかった。検察はジョナサンが最終的に自白したと言ったが、ジョナサンは自白などしていないと主張した。ジョナサンの弁護士は彼が自白したという証拠を提出するように求めたが、検察はその会話は録音されておらず、その時のメモも捨ててしまったと言った。

 

 

1998年、全て白人で構成された陪審員はジョナサンを有罪とし、50年の刑期が処された。

 

 

それから23年後、ようやく刑務所から出てきたジョナサンは“I feel like I can live life now. I’m free, I’m blessed, I just want to live my life worthy of God’s help and influence. I thank everybody who supported me — Maya and her family.”(ようやく自分の人生を生きることができる気がします。私は恵まれています。神のサポートの元、自分の人生を全うしたいです。マヤとマヤの家族、私を助けてくれた全ての人に感謝します。)と語った。

 

 

失われた23年間は戻ってこないし、40歳で一から人生を再スタートすることは想像以上に困難かもしれない。でもジョナサンは、ようやくもう一度スタートラインに立つことができた。

 

 

そして、自分のキャリアよりも他人を助けることを優先し、先頭に立って戦ったマヤ・モア選手の勇気と行動力には頭が上がらない。