↑左側の写真は12歳のTamir Rice(タミア・ライス)。公園でおもちゃの銃を構えていたところ、通報を受けた警察官によって射殺された。右側の写真の女性は高級住宅地でデモをしていた人々を銃で威嚇する弁護士。

 

 

 

数日前、ミズーリ州セントルイス市の市長(Lyda Krewson)への抗議のため、数百人の市民が市長の自宅周辺でデモを行った。

 

抗議のきっかけは、Krewson市長がFacebookでライブ配信中に、警察組織への予算を減らすよう求める文書に署名をした人々の実名と住所を読み上げたことだった。

 

これを受けて、怒った市民達が辞職すべきだと、市長の自宅周辺に詰めかけた。

 

 

市長と同じ住宅街に住む大金持ちの弁護士夫婦はデモ隊を見て、「このMob(暴徒)に殺される」と、大慌てで自宅から銃を持ち出して威嚇し始めた。

 

 

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2014年11月、オハイオ州クリーブランドで、「男が公園で銃を振りかざしている」と警察に通報があった。その電話の中で、「どうやら銃は偽物みたいだが、どちらにしても怖い。それから銃を持っているのは子供のようだ」ということも伝えられていた。しかし、通信指令係が警察官に伝言した時には「黒人の男が公園で銃を振りかざしている」という部分のみが伝わった。

 

 

警察は12歳のタミア少年に車で近づき、数秒以内に彼を射殺した。その一部始終が監視カメラに残っていて調査が行われたが、最終的に陪審員はタミアを撃った警察官を無罪とした。「ミスコミュニケーションや勘違いやエラーが重なったなどを考えると、これが警察官による犯罪だとは言えない」と結論づけた。

 

 

「タミア少年はオモチャであろうと、銃を振りかざすべきでは無かった」という人もいるだろう。でも、偽物の銃を作ったのも、銃社会を作り上げているのも、たった12歳の少年を射殺したのも、全て大人。少年は学ぶ機会も成長する機会も与えられないまま、社会の犠牲となった。そして一体どれだけのアメリカ国民が、6年前に亡くなった12歳の少年の名前を覚えているだろうか。

 

 

オモチャの銃を使って悪ふざけをした黒人少年は、言い訳をすることもできないまま、一瞬で命を奪われた。

 

 

白人の弁護士夫婦は、本物の銃をデモ隊に向けて威嚇しても、何の罪にも問われない。

 

生きていれば、今年6月25日で18歳になるはずだったタミア・ライスの母親の言葉。

 

「私たちは、もっとはっきりと主張しなくてはいけない。ずっと意見を言い続けて、絶対に黙ってはいけない。」