人生と旅・読書 村上春樹感 アメリカ放浪記 -7ページ目

人生と旅・読書 村上春樹感 アメリカ放浪記

人生と読書は切り離せない、体と心のような関係です。人生は旅であり、また、読書も旅です。徒然なるままに書いていきます。コメントお待ちしています。


 

 

ペ・ヨンジュンとソン・イェジンの恋愛小説である。

役名である、インスとソヨンの二人は、交通事故でお互いの連れ合いが入院した病院に駆けつけ、運命的な出会いをする。

 

2005年にDVDがリリースされている。不倫映画である。

巷では、今、議員同士の不倫が話題になっているが、この映画が違うのは、出逢いの原因であろうか。

 

ふたりの連れ合いが不倫旅行をしていて、自動車事故を起こし、男はなくなり、女は一命をとりとめる。精神的な打撃と、拠り所のない怒りと不安の中で、二人は出逢い、真相を知るにつれて、惹かれ合っていく。

 

ビデオテープで二人の不倫を知り、ずっと騙されてきた夫を看病しながら、妻であるソヨンは、自己の存在に疑問を持ち、悩み始める。そんな中、夫は死亡する。

 

大学時代からの恋人と付き合っていたことを知らずに、妻を愛してきたインスは、真実を知ろうと躍起になり、不倫に確信を得ると、自暴自棄になり、妻に見切りをつける決意をする。

 

二人の運命の出会いは、最低の状況から出発する。

 

題名のごとく、いたるところで、雪が舞っている。

 

それは、二人の心が、凍てつく寒さに凍えるように、暗喩を提示してくる。

 

しかし、その雪の冷たさが、救いになっているのは、二人の心以上に、私が、雪が好きだからかもしれない。

 

雪は、心を清めてくれる。冷たさと同時に、二人の心を、温かく包んでいるのである。

 

それは、雪で造られたかまくらの中の空気が、暖かいのと似ている。雪が、二人の心をかまくらのように包んで、凍えるのを防いでいる。

 

人生とは、先に何が待っているかは、誰も想像できない。予想外の出来事が起こったとき、人は、自己の中で、現実との折り合いをつけようとする。

 

それは、自己認識するための、その人なりの、自己同一性を取り戻す作業である。つまり、自己破壊しないために、しなければならない作業である。

 

不倫は、ある意味、自己破壊的な作業である。現在の自分を打ちこわし、新生したい願望ともとれる。楽しいのは、ひと時であり、後は、不安と、不満に、さいなまれていく。

 

これは、道徳的なものであり、社会的な罪悪感である。それとは別に、相対者に対しての、罪悪感もある。愛とは、無限なものだが、身体は、一つしかない。

 

そこに、矛盾が伴い、悩み、苦しみ、もだえて、心が引き裂かれていく。

結婚は、ルールであり、社会的な約束である。

 

そんなことは深く気にしないで、人は結婚するが、愛情が冷めると、ルールが大きく二人の仲に入り込み、社会的な制裁を加える。

 

明日は、わが身かもしれないのに、不倫は、話題のネタになり、二人は、行き場を失う。精神的な痛手はもちろん、仕事を失う、あるいは、仕事上の信頼を失う。

 

聖書を読むと、不倫は、当たり前のようになされ、神により、怒りを買い、罰を受ける。アメリカ社会では、二組に一組は離婚するのに、不倫はゆるされず、大きな罪となり、追及される。

 

つまり、不倫するなら、別れなさいというのが、アメリカの価値観である。日本では、離婚は、4組に一組になり、二十年前の2倍になっている。我慢は美徳の時代ではなくなり、自己主張して、好きな暮らしをする時代になっている。

 

先祖代々的な考え方が希薄になり、自分の人生を第一に考える時代であるともいえよう。それは、大きな違いである。家を重んじ、家が第一義に来る時代から、核家族化とともに、夫婦生活を第一主義に考える時代になった。

 

夫婦生活とは、個人の生活、仕事であり、家庭である。自分の夢は、自分の働きや努力で、実現できる時代になった。個人的自由度が増した時代になってきているのが、大きな変化である。

 

自由とは、責任である。自由度が増すとは、責任も大きくなる。これが、なかなか、実感できない。もし、これから逃れるには、一人で生きることである。

 

そういえば、一人で生きている知り合いの独身男性が、6割ほどになる。つまり、既婚の男性は、4割にしかならない。日本の人口が減るわけである。責任とは、リスクである。リスクを取りたくない男性が増えている。

 

結婚しなければ、不倫にもならない。人は、結婚し、不倫し、家庭を壊し、又、結婚する。あるいは、独身を通す。気ままに生活するのを選ぶ。子供を育てるのは、責任が必要であり、縛られる。

 

不倫は文化であるといった、俳優がいた。人類の、文化であると。なくならないもの。それは、不倫であり、殺人である。人は、この二つに、心を揺らし、命を懸ける。

 

生きるとは、罪深いことである。それを、救うのは、やはり、人にはできない。歴史が証明している。二つとも、なくならないからである。

 

四月の雪。

 

冬では、なく。

 

名残雪。

 

日本には、そんな言葉がある。

 

もし、日本映画でだったら。

 

そんな、題名がついていたかもしれない。

 

雪は、心残りを表すとともに、別れの象徴でもある。

 

そして、新たな旅立ちの始まり。

 

映画のタイトルにふさわしい。

 

ホ・ジノ監督。韓国作品

 

 

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